『女神転生』
元ネタ事典

更新:Oct.23,2009

 他の多くの作品同様、『女神転生』シリーズにもまたオマージュとでも言うべきパロディ(?)の数々が存在しています。そうした物の中から当協会の邪推の産物も含めて一覧にしてみました。さらにちょっと分かりにくいネタも合わせて記述しています。
 なおここの記述は必ずしも正しいものではないことをあらかじめお断りしておきます。

Special Thanks to

picasso
ふぁんとろん
くろみつ

アガスティアの木
施設:『女神異聞録〜ペルソナ』

 アガスティア Agastya は『ラーマーヤナ』等に登場するヒンドゥーの聖仙。特にインド南部で強く信仰されており、彼が100万枚もの椰子の葉に記した予言にはそれを読みに来た個々人の過去・現在・未来の全てが書かれているという。
 この「アガスティアの葉」を見せる「アガスティアの館」という店がインドには存在しているそうだが、その実態はなんともお寒いものであるらしい。

アグリッパ
悪魔:『ペルソナ2〜罪』

 ハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ Heinrich Cornerius Agrippa (1486-1535)。ドイツ(神聖ローマ帝国)のオカルト研究家。フォン・ネッテスハイム von Nettesheim を名乗っているがおそらく自称。その著書『オカルト哲学』De occulta philosophia 全3巻(1531)は中世のオカルト伝承の一大集成として有名。極めて博学で神学、カバラ、占星術等に通じていた人物であったが、ローマ教会と対立したため魔術師の嫌疑をかけられる。後に伝説の魔術師ファウストと結びつけられたため彼もまた大魔術師とみなされ、数々の伝説が付与されることとなる。神学者トリテミウスの弟子ともされるがこれも虚偽。
 なおゲーム中の解説では『科学と芸術の虚栄について』De incertitudine et vanitate scientiarum et artium (1530)を著書として挙げているが、これはアグリッパが転向(?)後に前言撤回に近い内容でオカルトと科学を攻撃して神学に帰ることを主張した著作であり、大魔術師とする文脈からすれば不適切。ただしこの著作がもとでパトロンであったカール5世に投獄されてはいる。

アリス
人物/悪魔:『真・女神転生』他

 ルイス・キャロル Lewis Carroll(洗礼名チャールズ・ルトウィッジ・ドジソン Charles Lutwidge Dodgson)『不思議の国のアリス』Alice's Adventures in Wonderland より主人公のアリス Alice。
 ただしアリスは多くの作品で既に使われているモチーフなので一概に出典とすることは出来ないが……。アリスのモデルは実在の人物アリス・リデル Alice Pleasance Liddellとされており、しばしばこの名前でも登場している。

アンドロメダ
悪魔:『真・女神転生II』

 マイケル・クライトンのSF小説『アンドロメダ病原体』The Andromeda Strain より。映画化(1971)もしている。
 ゲームでは病原体からコンピュータウイルスに進化(?)している。

インストールソフト
アイテム:『真・女神転生デビルサマナー ソウルハッカーズ』

 インストールソフトの名はいろいろ由来が楽しい。
「アルバート」大物理学者アルバート・アインシュタイン
「コペルニクス」天文学者コペルニクス
「ダ・ヴィンチ」芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチ
「ナイチンゲーラー」看護婦ナイチンゲール
「シュタイナー」神秘家ルドルフ・シュタイナー
「ギボ・アイズ」霊能者宜保愛子
「スティーヴン」物理学者ホーキング&謎の人物”スティーヴン”
「ヒロえもん」藤子不二雄『ドラえもん』
「百太郎」つのだじろう『後ろの百太郎』
「キャプス・ロック」CAPS LOCK
「タイム・ガール」元祖ギャルゲー、タイトー『タイムギャル』
「デビダス’99」集英社の雑誌『Imidus』
「フライデー」『魔神転生II』より、REMIX-STATIONの主(?)FRI-DAY
あるいはロビンソン・クルーソーの従僕フライデー(情報提供:ふぁんとろん様)
 ……等々。
 なお「ダーク・マン」は「暗き人」(ギリシャ語でスコテイノス、英語化すればdark man)と呼ばれた哲学者ヘラクレイトスに由来するとみることも出来るが、これはちょっと穿ち過ぎかも知れない。

EL-115
施設:『真・女神転生デビルサマナー ソウルハッカーズ』

 レティキュリアンの項目を参照せよ。

イゴール
人物:『女神異聞録〜ペルソナ』他

 一連のフランケンシュタイン映画等に登場する、フランケンシュタイン博士の助手イゴール Igor(Ygor) から。ただし有名なユニバーサル映画の『フランケンシュタイン』Frankenstein (1931)には登場せず、博士の助手はフリッツという名前の別人である。イゴールの初登場はシリーズ3作目の『フランケンシュタインの復活』Son of Frankenstein (1939)で、助手ではなく昏睡状態の怪物の面倒を見ていた元死刑囚(演じるはベラ・ルゴシ)であった。登場するのもフランケンシュタイン博士本人ではなくその息子である。フランケンシュタイン家の従僕となったのはフランケンシュタイン映画のパロディである『ヤング・フランケンシュタイン』Young Frankenstein (1974)から。なお元々の原作にはフランケンシュタインの助手は登場しない。
 なおイゴールという名のせむし男の怪人はフランケンシュタイン映画以外にも『肉の蝋人形』(1953)等、他のホラー映画にもしばしば登場している。

ウルトラアイズ
アイテム:『女神転生II』

 言わずと知れた円谷特撮の最高峰『ウルトラセブン』より、セブンの変身道具ウルトラアイ。

ヴィクトル
人物:『真・女神転生デビルサマナー』他

 メアリ・シェリー『フランケンシュタイン−−現代のプロメテウス』Frankenstein: or The Modern Prometheus (1818)より、主人公ヴィクター・フランケンシュタイン Victor Frankensteinから。なお有名な怪物の方は名無しである。ユニバーサルでの映画化作品『フランケンシュタイン』(1931)が有名であるが、この映画ではフランケンシュタインの名はヘンリーに変えられており、ヴィクターは友人の名(原作では友人がヘンリー)となっている。
 フランケンシュタイン家は実在したジュネーブ(元はドイツ出身)の貴族であり、ヴィクトルなる人物も実在したらしいが、よくある都市伝説の域を出ない。

エリザベス
人物:『ペルソナ3』他

 メアリ・シェリー『フランケンシュタイン−−現代のプロメテウス』Frankenstein: or The Modern Prometheus (1818)より、主人公ヴィクトル・フランケンシュタインの義妹にして婚約者のエリザベス Elizabeth Lavenza。原作では婚礼の夜に怪物によって殺されているが、映画『フランケンシュタイン』Frankenstein (1931)では失神しただけで助かっており、続編『フランケンシュタインの花嫁』The Bride of Frankenstein (1935)には博士の妻として登場している。リメイク版『フランケンシュタイン』Mary Shelley’s Frankenstein (1994)では殺された後、フランケンシュタインによって怪物を生み出した秘術で生き返る(ただし首から下は別人)が、復活後の姿の醜さに絶望して自殺している。
 なお『ペルソナ倶楽部P3』(エンターブレイン)では『フランケンシュタインの花嫁』に登場した女の人造人間となっているが、これは誤りで作中では伴侶(the Mate)としか呼ばれていない(※)。前述の通りこの映画ではエリザベスはそのまま博士の妻として登場しており別人である。おそらくリメイク版『フランケンシュタイン』との混同と思われる。

(※注)”名無し”は人造人間の悲哀の特徴の一つである。

黄金銃
武器:『女神転生II』他

 イアン・フレミングの007シリーズ『黄金銃を持つ男』The Man with the Golden Gun (1964)(のち映画化1974(英))の敵役、フランシスコ・スカラマンガ Francisco Scaramanga の持つ秘密兵器、黄金銃(Golden Gun)。普段はダンヒルのペン、コリブリのライターとシガレットケース、そしてカフスボタンに分かれており、これらを組み合わせることで黄金銃となる。
 なお単純に黄金製の銃は伊映画『リンゴ・キッド』Johnny Oro(1966)等にも登場しており、またアドルフ・ヒトラーが純金製のワルサーP38を愛銃としていたという伝説もある。

大月先生
人物:『女神転生if...』

 超常現象関係でおなじみ早稲田大学理工学部の”火の玉博士”大槻教授。

大友アキラ
人物:『真・女神転生II』

 大友克洋『AKIRA』より。ヒネリなしのストレート。

カシエル
悪魔:『偽典・女神転生』

 ダニエルの項目を参照せよ。

カラコル
地名:『ペルソナ2〜罪』

 マヤ北部低地の遺跡チェチェン・イツァに存在する実在の遺跡より。カラコル(Caracol)はスペイン語で「カタツムリ」を意味する名で、遺跡の発見後にその内部構造からつけられたものでありマヤ文明とは何の関係もない。カラコル自体は天文観測施設であったと推察されている。

ガルガンチュア
人物:『真・女神転生デビルサマナー』他

 ガルガンチュア Gargantua はフランスの民話に登場する巨人で、民間伝説物語『巨人ガルガンチュア大年代記』は「9年の間に売れた聖書以上の数が2ヶ月で売れた」程の中世の大ベストセラーとなった。これをヒントにF・ラブレーが『ガルガンチュア物語』La vie très horrifique du grand Gargantua, père de Pantagruel(1534)『パンタグリュエルの物語』Horribles et épouvantables Faits et Prouesses du très renommé Pantagruel (1532)を著し、以後ガルガンチュアの名は不朽のものとなった。現在ではガルガンチュアと言えば普通ラブレーの著作のものを指す。

クリス・ザ・カー/クリスティーン
悪魔:『真・女神転生II』他/『偽典・女神転生』

 モダンホラーの大御所スティーヴィン・キングの『クリスティーン(Christine)』より。例によって映画化もしている。

ゴウ・ミフネ
人物:『真・女神転生II』

 ミフネにサムライとくれば黒沢作品でおなじみ三船敏郎。

豪傑寺
地名:『ペルソナ2〜罪』

 言わずと知れたATLUSの自社作品『豪血寺一族』より。ストレート過ぎてコメントが続かない。

五色不動
地名:『偽典・女神転生』

 五色不動は江戸の守護のために将軍家によって配された(完成は三代将軍家光の頃らしい)と言われるもので、青・白・赤・黒・黄の五色はそれぞれ順に東・西・南・北・中央、および地・水・火・風・空を指す。なお実物の不動の目は別に名前通りの色をしているわけではない。
 五色不動の内訳は目黒=滝泉寺(目黒区下目黒3-20-26)、目赤=南谷寺(文京区本駒込1-20-20)、目白=金乗院(豊島区高田2-12-39)、目青=教学院(世田谷区太子堂4-15-1)、目黄=永久寺(台東区三ノ輪2-14-5)。目黄不動には最勝寺(江戸川区平井1-25-32)をあてることもあるのだが、地図から判断するに偽典では永久寺を目黄不動にしている様である。おそらく地図からはみ出しているからであろう。目青不動も同様に地図上に存在していないが、これはこれでイベント上役に立っている様ではある。なお金乗院(真言宗豊山派)以外は全て天台宗の寺院である。目白不動は建立当初文京区関口に存在していたが、戦災により焼失したため本尊の不動を金乗院に移し合併している。
 五色不動の設立には南光坊天海(ちなみに天台宗)が関っているとかの説があり、例によって江戸を守護する霊的結界の役割を果たすとか。ただし民間信仰としての五色不動が成立したのはそのずっと後である。

ゴトウ
人物:『真・女神転生』他

 モデルは作家の三島由紀夫。スタイルもそっくりである。モデルのほうは市谷駐屯地で自衛隊に決起を呼びかけ、結局割腹自殺して終わったが……。

小林丸
その他:『ペルソナ2〜罪』

 米映画『スタートレック2 カーンの逆襲』Star Trek II: The Wrath of Khan (1982)より宇宙アカデミーの訓練シミュレーション(コバヤシマル・プログラム)に登場する中性子輸送タンカー「コバヤシマル」(Kobayashi Maru)。後には『The Kobayasi Maru』(1989:未訳)という小説も出されている。
 なおこの船は非常に人気があり、様々な作品で拝借されている。

サイコダイバー
人物:『真・女神転生』

 夢枕獏『サイコダイバー』シリーズより。能力ついでに名前も拝借したものと思われる。
 ※移植版ではソウルダイバーに改名された。

サロメ
悪魔:『女神異聞録〜ペルソナ』

 サロメ Salome は新約聖書に登場するヘロデ王の後妻ヘロデアの娘。王の前で舞を披露し、その報酬として予言者ヨハネの首を所望する。
 ビクトリア時代にオスカー・ワイルドがかなりラディカルに脚色した戯曲『サロメ』を著しているが、これは英国に一大スキャンダルを巻き起こしている。

ジパニウム防具
アイテム:『真・女神転生II』

 ジパニウム……だがジャパニウムととれないこともない(ちょっと苦しい)。
 ジャパニウムはあの超合金Zの別名であるが……?

ジャージーデビル
悪魔:『真・女神転生デビルサマナー ソウルハッカーズ』

 ジャージーデビル Jersey Devil はニュージャージー州及びペンシルヴァニア州東部近辺に出没するという謎の怪物。最初の目撃例は1650年頃の開拓時代にまで遡るとされる。初期の伝説によると、パイン・バーレンズのある母親が自分の胎内にいる7番目の子に呪いをかけたことによって生まれた悪魔の子で、生まれるなり煙突を抜けて飛び去ったという。一説によるとこれは1735年の嵐の夜の出来事で母親はリード夫人という人物らしいが、年代的に矛盾が生じる。また白人の入植以前にネイティブ・アメリカンの伝承に存在していたとする説もある。
 開拓初期に目撃されたものの正体はともかく、20世紀になってから「ジャージーデビル」として認識された怪物は完全な虚偽である。仕掛け人はノーマン・ジェフリーズという男で、事件は1906年に彼がとある小さな街の新聞にでっち上げ記事を載せたことに端を発する。やがてこの話は一気に広まり、たちまちあちこちでこの「悪魔」の目撃事件が相次ぎ、一度などはカルフォルニア州での目撃報告(虚偽の可能性が高いが)さえ出されている。大きな翼、半人半獣の姿、長い尻尾、11本の足、炎と煙の混じった吐息といったジャージーデビルの特徴はこの時期に形成されたと考えられる。やがてニュージャージー州のハンティングバーグで件の怪物が捕えられ、同市のアーチストリート博物館で公開された。勿論これもジェフリーズの仕掛けたもので、「悪魔」の正体は緑色に塗られてブロンズの翼をつけられたカンガルーであった。
 結局ジェフリーズは1928年にでっち上げのことを告白したが、それにも関らず現在でもジャージーデビルはUMAの一員としてなお生き長らえている。その正体はぺレオザウルス(ジュラ紀に存在した野牛と馬の中間種)説、翼手竜説、某ドラマが採用していた原人の生き残り説等が存在している。最近では同じくUMAのチュパカブラやバッツカッチと同一種とみる説もある。

ジリオニウムガン
アイテム:『真・女神転生デビルサマナー ソウルハッカーズ』

 TVアニメ『赤き光弾ジリオン』より、”神の銃”ジリオン。ジリオニウムはジリオンのエネルギー源である鉱石の名。
 『赤き光弾ジリオン』はセガがスポンサーをしており、件のジリオンを光線銃として販売していた。
(情報提供:くろみつ様) 

水晶髑髏
アイテム:『ペルソナ2〜罪』

 マヤ起源とされる実在の著名なオーパーツ。ロンドンの大英博物館、ワシントンのスミソニアン博物館、パリのシャイヨー宮人類学博物館等に収蔵されている。もっとも有名なものは1927年にイギリスの探検家フランクル・ミッチェル・ヘジスが娘のアンナとともに英領ホンジュラス(現ベリーズ)で発見したもの(個人蔵)。
 水晶髑髏はマヤ語でレンバルと呼ばれ、その意は「光」もしくは「知識」であるという。水晶髑髏は世界が亡んだ時に神の言葉を伝えてくれるとしてマヤ人に崇拝されていたらしい。大英博物館所蔵のものはかねてから夜ひとりでに動きだすといった奇怪な噂がつきまとっていたことでも有名。
 これらの水晶髑髏は現代の技術を持ってしても制作困難なものと判定されており(ただしこうした文句は多くの場合、古代の技術を過小評価したためのものであったりあるいはオカルティストの宣伝文句だったりすることに留意すべきである)、下に光源を置くとその光が内部で屈折して眼窩に集中するという極めて巧妙な細工もなされている。ただし1970年代に行われた調査では大英博物館とスミソニアン博物館に所蔵された水晶髑髏は恐らく19世紀後半頃に造られた偽作であるとの分析結果が出ている。

スキャナー
悪魔:『真・女神転生』

 クローネンバーグのSF映画『スキャナーズ』Scanners (1981:加)より。念力で頭をふっ飛ばすSFXシーンは非常に有名。
 なおスキャナーは作中で破壊的超能力を持つ人々をさす用語。

鈴木社長
人物:『女神転生II』

 一説によるとモデルは日本SG界の大長老、鈴木銀一郎大佐であるらしい。(余談だが鈴木大司教貎下の実父でもある。)

スティーヴン
人物:『真・女神転生』他

 ”車椅子の天才”スティーヴン・ホーキング Stephen William Hawking より。

ダニエル
悪魔:『偽典・女神転生』

 天使ダニエル(※)、カシエル、および大天使ラファエラ。
 彼らは全てヴィム・ヴェンタース監督の映画『ベルリン・天使の詩(原題:Der Himmel ueber Berlin)』(1987:西独)とその続編『時の翼にのって(原題:In weiter Ferne, so nah! / 米題:Faraway, So Close!)』(1993:独)に登場する天使たちである。

※注)映画ではダニエル(Daniel)ではなくダミエル(Damiel)。

地下鉄新橋駅旧ホーム
地名:『偽典・女神転生』

 現存する旧東京高速鉄道の新橋駅ホーム(※)。ゲーム中では銀座線新橋駅と虎ノ門駅の中間に位置するかの如く登場しているが、実際には新橋駅内に存在する。虎ノ門駅を出た銀座線の電車は新橋駅の前で曲がって線路を移るのだが、この時直進するとこの旧ホームに到達する。
 黎明時の東京の地下鉄には東京地下鉄道と東京高速鉄道の二社があり、上野が起点の東京地下鉄道と渋谷が起点の東京高速鉄道の線路が新橋駅で対峙することになったのだが、その後1939年に両社の電車が相互乗り入れ出来るようになった為、東京高速鉄道側は留置線となって問題のホームは8ヶ月使われただけで1992年の銀座線開業70周年記念イベントで使われるまで約50年間封印されていた(その間は倉庫や会議室として使われていた)。なおこの旧ホームは偽典以前に『魔神転生II』にも登場している。

※注)Web上の偽典関連サイトでは単に「旧新橋駅」と呼称されている場合が多いがこれは間違ってはいないにせよあまり正しい表現とも言えない。一般に「旧新橋駅」と言えば日本最初の鉄道の起点となった新橋駅(現在の汐留シオサイトにある旧新橋停車場)のことを指す。

テオドア
人物:『ペルソナ3ポータブル』他

 おそらくシリーズ第4作『フランケンシュタインの幽霊』The Ghost of Frankenstein (1942) の登場人物テオドール・ボーマー博士 Dr. Theodore Bohmer。フランケンシュタイン博士(ユニバーサル映画版ではヘンリー)の次男のルドウィク・フランケンシュタインの師。ただし落ちぶれて元教え子の助手をしている。
 なお設定でエリザベス及びマーガレットとは姉弟であるのは、『若草物語』Little Women とその続編に由来するものと思われる。『若草物語』ではセオドアはマーチ家の隣人であるが、続編で四姉妹の末妹エイミィと結婚している為、エリザベス及びマーガレットの義弟となる。

テンプルナイト
悪魔:『真・女神転生』他

 テンプル(聖堂)騎士団(Knights Templars あるいは Templiers)は第一回十字軍に際してパレスチナで結成された宗教騎士団。正式名は「キリストとソロモン神殿の清貧騎士団」Pauperes commilitones Christi Templique Solomonici といい、巡礼保護と異教徒(=イスラム勢力)の駆逐が目的だったが、十字軍遠征に参加しない領主たちから多額の寄進を受け、それを元手に金融業を営み莫大な財産を有するようになったため、財産を狙うフランス王フィリップ4世によって異端(バフォメットなる偶像の崇拝、同性愛、等々)の嫌疑をかけられて壊滅させられてしまった。この一件に関してはいろいろと怪説が存在しているが、長くなるのでここでは触れない。
 テンプル騎士団は西欧では実情はともかく秘密結社の元祖的な存在として認識されており、フリーメーソンリーの一部もその起源をテンプル騎士団に求めている他、幾多の団体がその威勢を拝借している。東方テンプル騎士団や新テンプル騎士団といった組織もそうした勢力の一つであるが、これらは魔術結社なので注意。

ドクター・スリル
人物:『真・女神転生デビルサマナー』他

 手塚治『スリル博士』の主人公スリル博士と一致しているが、実際の発想はMCハマーのビデオらしい。詳細はアスペクト『真・女神転生 デビルサマナー 公式ガイドブック・ファイナル』を参照せよ。

Dr.バクダ
人物:『女神転生II』

 ナムコ『超絶倫人ベラボーマン』の悪役である爆田博士その人。
 友情出演(?)。

ナジャ
人物/悪魔:『真・女神転生II』

 シュルレアリスムの教祖アンドレ・ブルトンの小説『ナジャ』NADJA (1928)より。その名はロシア語の「希望(ナジェージダ:надежда / Nadezhda)」にちなむ。なお小説のナジャは単なる謎めいた女性であって妖精ではない。

肉体の悪魔
特技:『真・女神転生デビルサマナー』

 ジェラール・フィリップ主演の仏映画『肉体の悪魔』Le Diable au corps (1947)より。原作は早熟の作家R・ラディゲ。
 なお同名の英映画 The Devils (1971)も存在している。こちらの原作はA.L.ハックスリー『ルーモンの悪魔』The Devils of Loudun (1952)。

ハエ男
人物:『女神転生II』他

 映画『ハエ男の恐怖』The Fly (1953)より。
 この映画の原作はG・ランジュランの小説『蝿』The Fly だが、イメージからいって映画版が元ネタだろう。

氷川神社
地名:『真・女神転生デビルサマナー』

 氷川神社は主に素戔嗚を祭る神社で、旧武蔵国(東京・埼玉)に数多く(実に200以上)存在しているが、それ以外では茨城・栃木にそれぞれ2社、北海道・千葉にそれぞれ1社しか存在しない。ということは平崎市は実は都内近郊?

ヒヒイロカネ
アイテム:『真・女神転生II』

 ヒヒイロカネ(緋々色金)は日本古代史最大の問題文書『竹内文書』に登場する謎の金属。
 アトランティス伝説に登場する「オリハルコン」との関係も指摘されている。

ビワホウシ
悪魔:『女神転生II』

 ナムコ『源平討魔伝』より個性的な敵キャラ琵琶法師。これまた友情出演?

フィレモン
人物:『女神異聞録〜ペルソナ』他

 心理学者C・G・ユングの見た夢に現れた、牡牛の角とカワセミの翼を持ち鍵束を携えた老人の姿で現れた人物であるらしい。なおこの人物は自分を予言者エリヤであると名乗ったとか。

ブラックウーズ
悪魔:『真・女神転生』他

 名前の意味は「黒い泥」であり、ナムコ『イシターの復活』に同名のモンスターが登場しているが、D&D(R) モンスターのブラックプティングとグレイウーズ(ともにスライム状モンスター)の合成とも考えられる。多分後者で悪魔合体したのだろう。

ブロブ
悪魔:『女神転生』他

 米映画『絶対の危機(原題 The Blob)』(1958)に登場するスライム上の宇宙生命体。
 なおblobとは「しみ、しずく」といった意味の英語である。

PRINCESS HOTEL/品川ホテル
地名:『女神転生II』/『偽典・女神転生』

 西武グループの品川プリンスホテルが元ネタであるが、実は品川プリンスホテルは「品川」には無い。あそこは実は港区であり、歴史的な「品川」とは別の土地である。これはもともと品川駅が品川でないところに無理矢理造られたことに由来している。とはいえ既に品川駅周辺が「品川」と認識されつつあり、歴史的な品川地区は忘れ去れつつある。

ボイス
その他:『ペルソナ2〜罪』

 戦闘時のボイスですがこれまたいろいろ出所があります。捜せばいろいろに出てくるでしょうが、追求しだすと際限がないので有名なものだけ。
「いいわね、いくわよ!」(舞耶)『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975-77)よりぺギー松山ことモモレンジャーの定番台詞。
「雑魚とは違うのだよ、雑魚とは!」(栄吉)『機動戦士ガンダム』(1979)よりランバ・ラルの有名台詞「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」。
「なんじゃあこりゃあ!」(JUDGEMENT ソロネ)『太陽にほえろ!』(1973-86)よりジーパン刑事こと柴田純の殉職シーン。
「おしおきダベシ!」(DEVIL ツィツィミトル)『ヤッターマン』(1977-79)よりドクロベエ様の定番台詞。
 ……等々。

マーガレット
人物:『ペルソナ4』

 『フランケンシュタイン−−現代のプロメテウス』Frankenstein: or The Modern Prometheus (1818)の登場人物マーガレット・サヴィル Margaret Saville。ただし名前のみで小説中には登場しない。
 原作小説は北極海を探検航海していて偶然遭難していたフランケンシュタインを救助したロバート・ウォルトン Robert Walton の手紙から始まるが、この手紙の宛先が姉(原文では区別がつかないが文面や当時の習慣等から姉と推定されている)のマーガレットであった。
 なお映画『フランケンシュタイン』Mary Shelley’s Frankenstein (1994)では冒頭に端役で登場しているが、キャスティングの判断からか字幕ではウォルトンの妹となっていた。

宮本 明
人物:『女神転生if...』

 永井豪『デビルマン』より、主人公不動明から。しかもちゃんとアモンと合体までしている。
 ところで姓の由来は宮本+アモンだから……宮本亜門?

無想正宗
アイテム:『真・女神転生』他

 柴田錬三郎『眠狂四郎』シリーズより、主人公眠狂四郎の愛刀。

メアリ
人物:『真・女神転生デビルサマナー ソウルハッカーズ』

 『フランケンシュタイン−−現代のプロメテウス』Frankenstein: or The Modern Prometheus (1818)の原作者メアリ・シェリー Mary Wollstonecraft Godwin Shelley より。ヴィクトルと対になっているわけである。
 ただし実在のメアリは過激派の文書を配ってオックスフォードを放校になったり、妻帯していたシェリー(後に夫となる有名な詩人)と駆け落ちしたりとゲーム中のメアリとは似ても似つかぬ人物ではある。それもそのはず、実は父親は著名なアナキストであったウィリアム・ゴドウィン、母親はフェミズムの先駆者メアリ・ウルストンクラフトと筋金入りの家庭に育った左派なのである。

妖刀ニヒル
アイテム:『真・女神転生』他

 手塚治虫『どろろ』より、「妖刀の巻」にて登場した辻斬り田之助の愛刀、妖刀似蛭。
 百鬼丸に敗北し、ぼろぼろに腐り果てた。
(情報提供:picasso様) 

ヨグソトスJr
悪魔:『女神異聞録〜ペルソナ』

 「ヨグソトスの息子」という名のこの悪魔は、H・P・ラヴクラフト『ダンウィッチの怪』The Dunwich Horror (1928) に登場する、邪神ヨグ・ソトース(Yog-Sothoth/Yok-Zothoth)と人間の女性との忌まわしい交合によって産み落とされた「馬小屋よりも大きな」怪物と推測される。

四騎士
悪魔:『女神転生II』

 妖魔ソードナイト、ワンドナイト、カップナイト、ディスクナイト。それぞれタロットの小アルカナ(トランプの原形)のスート(一応解説しておくと順にスペード、クラブ、ハート、ダイヤ)を背負っている。
 4つのスートに対応した事物の例は数多いが、やはり古典は東映の『ジャッカー電撃隊』か?

ラファエラ
悪魔:『偽典・女神転生』

 ダニエルの項目を参照せよ。

ラリョウオウ
悪魔:『真・女神転生デビルサマナー ソウルハッカーズ』

 蘭陵王(あるいは羅陵王)は6世紀ごろに実在した北斉(中国)の武将をモデルにした伝説的英雄。日本では少々マイナーだが五月人形や山車などで時折見かけられることがある。文化的なところでは、竜頭の面をつけた一人の走舞によって演じられる雅楽の左方舞楽『陵王(蘭陵王)』が有名。

ルイ・サイファー
人物:『真・女神転生』他

 ウィリアム・ヒョーツバーグ William Hjortsbergのホラー小説『堕ちる天使』Falling Angel(1978)より。この小説を映画化したものがアラン・パーカー監督の映画『エンゼル・ハート』Angel Heart(1987)。
 小説/映画中でも悪魔ルシファーの偽名として使われていた。

レッド・ベアー
人物:『真・女神転生II』

 システムソフト『大戦略』シリーズ中の定番マップ"RED BEAR"。今は亡きソ連の北海道侵攻の仮想シナリオであった。
 もっともあまり関係はなさそうなので偶然一致しただけかもしれない。

レッドマン
人物:『真・女神転生デビルサマナー』他

 Red Man すなわち”赤い人”は北米のネイティブ・アメリカンが自分たちを指していう名称である。実際、『ソウルハッカーズ』に登場したレッドマンはネイティブ・アメリカンであり、『デビルサマナー ソウルハッカーズのすべて』(アスペクト)によるとアルゴンキン族(※)の戦士であったらしい。『デビルサマナー』に登場したレッドマンは同一人物ではないらしいのでこれに由来するのかは不明。
 なおレッドマンにはもう一つ『ウルトラセブン』の仮タイトルというネタもあるがこれについては何とも言えない。

※注)アルゴンキン族はネイティブ・アメリカン最大の語族であり、カナダのラブラドル半島から現アメリカ合衆国ノースカロライナ州あたりまでの大西洋沿岸地域に居住していた部族の多くが含まれる。大きく分けて次の6グループよりなる。東(中部・東部カナダ)、中央(五大湖地方)、カリフォルニア、ブラックフット(アルバータ)、チエンヌ(モンタナ)、アラパホ(モンタナ、ワイオミング、オクラホマ)。その多くは後のヨーロッパ勢力の進出後、度々マンハッタン島等のオランダ植民地を襲撃していたが、アルゴンキン・オランダ戦争(1641−45)でオランダとその同盟者モホーク族に敗れて勢力を失っている。

レティキュリアン
人物:『真・女神転生デビルサマナー ソウルハッカーズ』

 レティキュリアンReticulian はレティクル座人の意。レティクル座reticulum はこあみ(小網)座とも呼ばれる南方星座(日本からは見えない)の一つだが、有名な1961年のヒル夫妻誘拐事件において、異星人の母星はこの星座のゼータ星(アルファ、ベータという双子の名はこの辺りに由来すると思われる)とされた。
 ヒル夫妻誘拐事件は1975年に『UFOとの遭遇』という題でテレビドラマ化されており、以来レティクル座ゼータは異星人の母星の一つとして定着(?)している。
 なお彼らの店、EL-115はElement115、すなわち原子番号115番のことである。Element115はエリア51に保管されているUFOの残骸から発見された地球には存在しない物質で、反重力システムに使われているとされている。

レムリアン
悪魔:『女神転生』

 Lemurianすなわちレムリア人。神智学協会創始者ブラヴァツキー夫人が自著『シークレット・ドクトリン』The Secret Doctrine (1888)にてその存在を主張した、かつて太平洋に存在したレムリア大陸で繁栄を極めていたという卵生で両性具有の類人猿。最初はクラゲと同じ軟体動物で雌雄同体であったが、やがて骨格が形成され、男女の性も分かれて生殖活動を行うようになったのだとか。レムリア大陸が亡んだ後その一部がアフリカや南米に逃げ、エジプト人やインカ人の祖先になったという。なおレムリア大陸はムー大陸と同一のものとされている。
 ご存じの方も多いだろうが勿論この主張は完全なるデタラメである。レムリアとはそもそもイギリスの動物学者F・R・スクレーターによって唱えられたインド洋に存在したという大陸の名前である。キツネザル(lemur)の分布を調べていたスクレーターはその分布を説明するため、かつてインド洋に大陸(陸橋)が存在したとするイギリスの地質学者W・T・ブランドフォードの説を採用、この大陸をレムリア Lemuria と名づけたのであった。しかしキツネザル(lemur)の名はレムルース(ローマの祖霊神)に由来するものであるためレムリアの名を「霊の国」と誤解(あるいは曲解)した神秘家たちがその名を用い、さらにスクレーターの説にその他の怪説(例えばドイツの博物学者E・H・ヘッケルなどはスクレーター以前に人類発祥の地としてほぼレムリアと同じ大陸の存在を唱えていた)が混合して歪んだレムリア大陸の姿が作り出される事になったのである。なお現在ではキツネザルの分布は大陸移動説によって説明されており、スクレーターの唱えたような大陸の存在は(地質学的にも)否定されている。