第3章 狂気の街東京


疑惑

労働キャンプからどうにか脱出し、代々木公園駅から地上へ。都庁に戻ることになる。悪魔の襲撃を受けた都庁がどうなっているか心配だったが、中の様子は以前と変わっていない。悪魔に占拠されたわけではなさそうだ。だが、ほっとしたのもつかの間、ペンタグランマの連中に渡邊のところへ連行されてしまう。

渡邊は、いつになく険しい表情で葛城たちをにらんでいる。いったいどうしたというのだろう。しかし、渡邊の口からは恐るべきことが語られる。葛城たちは悪魔のスパイであり、先の襲撃は葛城たちと示し合わせたうえで行われたものだというのだ。

死にそうな目に遭いながら、ようやく帰ってきたらこのザマだ。誰がそんな根も葉もないデマを流したのだろう。それよりも、そんな嘘っぱちをどうして渡邊は信じたのだろう。やはりデビルバスターは信用していなかったのか――いろいろな思いが脳裏をよぎるが、今はとにかくこの誤解を解かなければならない。

だが、渡邊は取り合ってくれない。それどころか、葛城と園田を処刑すると言い、ふたりは牢獄代わりの部屋に閉じこめられてしまう。泪は、渡邊自身が取り調べると言って別の部屋に連れて行かれた。

あまりにも一方的な処刑宣告。逃げだそうにも電磁ロックされた扉を破る術はない。また労働キャンプに逆戻りしたかのようだ。葛城と園田が話をしていると、見知ったレジスタンスのメンバーたちが入ってくる。

彼らが言うには、渡邊はあの襲撃以来すっかり人が変わってしまったという。そのことに不満を持つメンバーは少なくないが、彼らとしても恩のある渡邊を裏切れないので、やむなく従っているというのである。彼らは葛城たちのこともわかってくれていて、バエルを斃したお前たちが悪魔の側につくはずがない、と言う。

そこで、ひそかに葛城たちを逃がしてくれる。猫娘が泪を連れてくる。マッドサイエンティストみたいな男が差し出した薬を飲むと、全快する。彼らに別れを告げ、用意してくれたジープで都庁を脱出。

さて、これからどうしようか。迷っていると、泪が、原宿シェルターへ行こうと言い出す。あそこはムールムールにやられて悪魔の巣窟になっているはずだが……。しかし、今はアドニスが支配しており、悪魔はそれほど現れないらしい(じゃあ、代々木労働キャンプには何しに来ていたのだろう?)。他に行くあてもないので、原宿シェルターへ。

アドニスの園

以前やって来たときは隔壁扉を開けることができなかったが、今回はすんなり入れる。すると、マシンT−92αとビット・ボールがお出迎え。もとの主を失った今でもシェルターを守り続けているのだろう(内部から潰滅させられたので彼らの出番はなかったのだ)。ジオ系魔法を使えばすぐに片がつく。入り口付近にターミナル回線とリンクした端末があるので、セーブしておこう。代々木労働キャンプの地下牢以来である。序盤にもうちょっとセーブポイントがあってもよさそうなものだが。

攻略を開始しよう。まず、B5Fまではエレベータで直行。階段で下りても余計な戦闘が増えるだけだ。本格的な探索はここから始まる。大広間に出ると、邪鬼バーベガジと悪霊エンティティーの大群が。こいつらを蹴散らし、下り階段を探す。

間違った階段を下りると、それは居住区につながっていて、住民が残したアイテムを拾うことができる。だが、あまり貴重なものは入手できない。

原宿シェルターはとにかく広い。初台で、原宿シェルターは初台よりも大きいというセリフがあったが、その大きさを体感できる。B5Fの泉で体力は回復させられるが(ただし、泉の番人に金を要求される)、レベルアップしない限りMPの回復はできないので、苦しい戦いになるだろう。しかも、ANSがないのでナビゲーションも効かない。自信がなければクリアを優先した方が無難だ。

内部の構造はなかなか複雑。道をひとつでも誤ると同じところをグルグル回らされるハメになる。途中でマップデータをダウンロードできるのがせめてもの救い。B8Fまで降りてくると、ふたたび端末が見つかり、セーブできる。B9Fでは、邪教の館が初登場。最初に限り、館の主がいろいろと説明してくれる。まだこの段階では強力な仲魔は作れないだろうが、話だけは聞いておこう。

このあたりから、出現する悪魔に一定の傾向が見られるようになる。樹精ブルーベル、樹精ドリアード、樹精ジプシーローズ、妖魔プシュケ、水妖ニンフ……。妖精・女魔系の悪魔ばかりである。要するに、アドニス好みの美形をそろえているわけだ。

美形といえば、アドニスに洗脳された人間たちも登場する。なにしろ全員美少年という、まさにお約束のネタだ。彼らは、葛城たちのことを醜いものでも見るような目つきで眺める。その様子を見ていると、このままここで朽ち果てるのがお似合いなような気がしてくるが……。

最下層、B10Fの一番奥の部屋に、アドニスはいる。だが、この部屋に来るためには、もっと上の階で正しいルートを取っていなければならないので注意しよう。さて、その部屋では、美少年たちをはべらせ、玉座に座ったアドニスがひとり悦に入っている。ここはアドニスにとっての楽園なのだ。こいつを追っ払えば、体を休める場所くらいは確保できるかもしれない。だが、その前に戦闘。

例によってアドニスは自信たっぷりだ。葛城が代々木労働キャンプでイニシエーションを受けていた場合、君と闘うことになったのは残念だ、とか言う。だが、やはり例によって弱い。わずかながら腕を上げてはいるものの、こちらははるかに強くなっているのだから話にならない。強いて言えば、怖いのはジオンガくらいだろうか。

アドニスを撃破すると、また逃げる。そして、洗脳が解けた人間たちもみな逃げ出してしまう。アドニスが呼び寄せた悪魔たちもいなくなる。ところが……。

突如として屍鬼と蠅の群が大量に出現し始める。まるで悪魔の生態系が一変してしまったかのようだ。実は、今までシェルター内にこれらの悪魔の姿がなかったのは、アドニスが魔力で押さえていたためだったのだ。これでは、とても住めるような状態ではない。ここも脱出するほかなくなった。

屍鬼ゾンビミックス、下魔ベルゼブブの下僕、悪霊色情因縁霊……。こういった奴らとまともにやり合っていると大変だ。邪教の館で天使エンジェルあたりを造っておけば、ハンマやハリハラが使えるので戦闘は楽になる。蠅どもはアギ系魔法で焼き払おう。また、アンデッドはうまく会話すれば成仏させてやることも可能だ。実入りはゼロになるが。

帰りは、一方通行の扉をうまく使って近道しよう。しかし、油断は禁物。狭い道で通せんぼするように悪魔が群れているからだ。ここでこっちがゾンビになってはシャレにもならない。1Fにたどりついたら、もう一度セーブしておくのが無難だろう。そして、ふたたび地上へ。

ちなみに、中に入り直すと、T−92αとビット・ボールは何度でも現れる。警備システムの一部が生き残っていて、ストックを動かしているんだろうか。ところが、このT−92αとビット・ボールは、初期版にのみ登場し、修正版には登場しないという話がある。もしそうだとすれば、残念なことだ。護衛のロボットが動いていた方が、感じが出るのに。

満月の夜の怪事件

原宿シェルターをあとにして、今度こそ本当に行くあてのない自分に気づく。今までは親切すぎるほど誘導してくれていたのに、ここではヒントすらない。広大な平野にいきなり放り出されたようなものだ。初めてプレイしたときはかなり迷うはず。

だが、闇雲に動き回るのは得策ではない。戦闘で疲弊した体を休められる場所が必要だ。まずは、シェルターから北へ向かおう。すると、都庁の近辺にマイシテーという場所があるはず。そこが目的の場所だ(ちなみに、マイシテーとアイシテーで表記が混乱しているようだが、ここではマイシテーで統一する)。

まずは、エレベータで8Fへ。病院があるので、ここで治療を受け、英気を養おう。次に、1Fへ戻ってターミナルへ。ここでセーブし、マップをダウンロードしたら、ようやく本格的に動き回れる体勢が整ったことになる。

1Fの酒場や、4F〜8Fにいる住人たちから情報を収集。ただし、酒場では酒を注文しないといけない。話によれば、ここはペンタグランマの居住地区らしい。都庁に入りきらなかった人が住んでいるということか。幸い葛城たちの顔は知らないようなので、喧嘩になることはない。

住んでいるのは、ペンタグランマの人々ばかりではない。一般の住民もたくさん住んでいる。それでも、広さが広さなだけに、使われていない部屋もたくさんあるくらいなのだが。彼らがここに住んでいるのは、言うまでもなく他より安全だからだが、最近怪事件が発生してその安全が脅かされているらしい。

怪事件というのは、満月の夜に決まって誰かがさらわれ、それきり帰ってこないというものだ。すでに何人もの人が被害にあっているという。獣の遠吠えのようなものを聞いたとの噂もあり、悪魔の仕業ではないかと疑われている。

あと、御田急ハルクに謎の兄妹が住んでいるという情報もある。悪魔がウヨウヨしているところにふたりっきりで住んでいるというから尋常ではない。満月の夜の事件とのつながりは……? 次の目標はどうやら御田急ハルクらしい。

だが、その前に装備を充実させておこう。8Fに武器屋と防具屋がある。だが、武器屋は弾丸以外見るべきものがない。重要なのは防具屋。ケチったりせず、できるだけいいものを買おう。1Fには、道具屋、薬屋、コンピュータショップがある。道具屋では、緊縛を解除してくれる蜂蜜ケーキがおすすめ。薬屋では、ポイズノンXやチャームザップαをいくつか買っておくといい。コンピュータショップで忘れてはいけないのは、ANS Ver1.0。ナビゲーションシステムを再起動させておかなくては。お金に余裕があればセーバーIもインストールしておいて損はない。

人狼の正体

御田急ハルクは、マイシテーのすぐ近くにある。白い建物で、爆風を受けたわりにはそれほど崩れた様子はない。さすがに窓ガラスは割れているが。見上げてみて目につくのは時計台だ。これは遠くからでもはっきりとそれとわかる。だが、その針が時を刻むことがなくなってから久しい(追補A参照)。中へ。

まず、1Fでは、屍鬼クリスピーデッドと妖獣ヘルハウンドが主人と飼い犬よろしくワンセットになって大量に出現する。こいつらはアギヤードで焼き払うのが楽。端末でセーブ可能だが、ここでは無理にする必要はないように思う。

エレベータで3Fへ。4Fへ上るための階段を探す。ここでは、邪鬼レッドキャップと妖精ゴブリンのコンビに注意。シバブーやイビルアイズ、ドルミンなど、多彩な魔法・特殊攻撃を繰り出してくる。とくにシバブーは剣呑で、隘路で緊縛になると、撤退するしかない。

4Fからエレベータで5Fへ。途中に出現する水妖アズミから宝玉を奪うのもいい。謎の兄妹は5Fのどこかにいる。したがって、6Fへ行くのは無駄足である。降天使アムドゥシアスなどがいるようだが。

ある部屋に入ると、そこは時計台の内部である。巨大な歯車が見える。かつてこの時計をメンテナンスするために使われたのだろう、階段の他にいくつかの部屋もあるようだ。そこにひとりの少女がいる。最初は怯えている様子なので、優しく接してあげると、メイという名前だとわかる。しかし、兄のカズミがやって来て、追い返されてしまう。

彼らが噂の兄妹に違いない。事情を聴きたいところだ。そのためには、何度も足を運ばなければならない。一度建物を出て、月齢が進んだらまた入って、ふたりのいる部屋へ向かう。その繰り返し。そのうちに、いろいろとわかってくる。メイとカズミはふたりっきりで暮らしており、カズミがすべて面倒を見ている。メイは胸を患っていて、かなり重症のようだ(肺結核?)。実際、カズミが不在のときに訪れると、メイが発作を起こして倒れており、葛城たちがしばらく看病してあげることになる。

メイは結構すぐにうち解けてくれる。葛城たちが怪しい人間でないことが勘でわかるのだろう。だが、カズミは警戒を解こうとはしない。妹を守ろうとするその気持ちは、わからないこともないのだが。それでも、メイを看病してあげたことには感謝しているらしく、最初のころのようにとげとげしい言葉が飛んできたりはしない。少しは心を開いてくれたのだろうか。それでも、こんなところに、しかもふたりっきりで済んでいる訳は話してくれない。こんな環境じゃ、メイの病状も悪化するばかりだろうに……。

カズミには、満月の日には来るなと忠告される。だが、それでも来ると、いつもと様子が違う。メイの部屋に向かう途中で遠吠えが聞こえ、何かの影が素早く動いているのが感じられる。しかも、いつものように部屋に行くと、メイが血相を変えて、葛城たちを追い返そうとするのだ。満月が過ぎてから来てほしいという。疑惑は深まってゆく。やはり、彼らはマイシテーの事件と何か関わりがあるのだ。

日を改めてもう一度メイたちの部屋へ。すると、カズミからメイを預かってくれと頼まれる。次の満月が危ない、と彼は言うのだが、やはりその訳については教えてくれない。悪魔絡みなら俺たちに話してほしい、と園田は言う。悪魔に関する知識が豊富なデビルバスターなら、何とかできるかもしれない、と。それでも、こればかりはお前たちでもどうにもできない問題だ、と寂しそうにカズミは話すのみだった……。これ以上は詮索せず、メイを預かってあげることにする。

預かる、といってもメイは病気でかなり弱っている。葛城たちのように、雨風さえしのげればどこでもいい、というわけにはいかない。安全で、かつ環境のいいところでなければ。そこで、園田は鬼子母神にいる知り合いの僧侶のところへ連れて行くことにした。鬼子母神とは、あの入谷の鬼子母神のことで、御田急ハルクからだと池袋方面になる(ちなみに、 園田が瀕死の場合でも、メイが鬼子母神の場所を教えてくれるようである。理由は不明)。

そこは、どっしりとした作りのお寺で、裏庭には池があり、殺伐とした東京には不釣り合いなくらい閑静なところだ。そして、住職であり、唯一の住人でもある僧侶は、温かく葛城たちを迎えてくれた。メイを預かる話も快く引き受けてくれ、これで一安心。ここならメイも大丈夫だろう(ストーリーには出てこないが、おそらく結界も張られているはずだ)。だが、カズミのことが気にかかる。問題の満月の日になると、泪にメイを見ていてもらい、葛城と園田は御田急ハルクに戻る。

例の部屋に入った葛城たちが見たものは、喰いちぎられた痕のある屍体だった。血の臭いが鼻孔をつく。奥から獣の唸り声が聞こえる。そして、重い足音とともに狼男が姿を現した。2メートルを軽く超える巨体である。狼男は葛城たちを見ると、すぐさま襲いかかってきた。

ここで、獣人ワーウルフと戦闘になる。ワーウルフは、腕力と体力が自慢の悪魔だが、魔法に対する抵抗力がないので、攻撃魔法を使えばあっけなく倒せる。しかし……。斃したと思ったとたん、ワーウルフはふたたび立ち上がった。とてつもない生命力である。再度戦闘となる。しかも、今度はさっきよりもややパワーアップしている。眠っていた獣性が呼び覚まされたかのようだ。

それでも、修羅場をくぐり抜けてきた葛城と園田の敵ではない。大きなダメージを受け、ワーウルフの動きが止まる。今度こそとどめを――そのとき、葛城たちを止める声。それは、メイだった。隣に泪もいる。兄のことが心配で、病気を押してやって来たのだ。メイは、隠していた事実を告げる。目の前のワーウルフは、カズミだった。見ると、ワーウルフはその姿を変え、もとのカズミの姿に戻っていた。

意識を取り戻したカズミだが、あれほどのダメージを受けたにもかかわらず、それほど傷を負った様子もない。彼は立ち上がり、真相を語り始めた。

早くに親を亡くしたカズミとメイは、あるとき息も絶え絶えになったワーウルフに遭遇した。おそるおそるカズミが近づくと、突然ワーウルフはカズミに憑依した。カズミの体を乗っ取って生き延びようとしたのだ。幸い完全に支配されることはなかった。が、満月の夜、ワーウルフの力が最大になると、潜んでいたワーウルフが表面に現れ、カズミ自身ワーウルフに変身してしまうのだった。

一度変身してしまうと、もはやコントロールが効かなかった。意識が戻ったときには、カズミの周りには喰いちぎられた人の屍体が散乱しているありさまだった。普通の生活をあきらめたふたりは、御田急ハルクに住むことを余儀なくされた。しかし、満月の夜になるたびに、ワーウルフはマイシテーの人々を襲うのだった。

ワーウルフの力は日増しに強くなっていった。それでも、カズミは耐えた。すべては、メイを守るためだった。凶暴なワーウルフがいるとなれば、悪魔でさえもおいそれとは部屋に近づけなかったのだ。しかし、もはや限界が近づいていた。ワーウルフは、メイさえも襲おうとしたのだ。ちょうどそのころ、ふたりは葛城たちに出会い、カズミはメイを預けることに決めた。もし自分が今度こそもとの姿に戻れなくなっても、メイだけは助かる――カズミはそう考えたのだろう。

だが、今やその状況は変わったようである。泪の見るところ、カズミの精神がワーウルフに勝ったらしい。カズミはワーウルフと融合したのだ。大怪我をしているはずのカズミが無事だったのも、ワーウルフの生命エネルギー(生体マグネタイト)を吸収したためだろう。泪によれば、カズミにはもともと悪魔使いとしての素質があり、今まで完全に支配されずに済んだのもそのおかげだという。

ワーウルフの力を手に入れたカズミは、望むときにワーウルフに変身できるようになった。自在に使いこなせるようになるには修行が必要なようだが、この狂気の街東京で妹を守り抜いていくためには、願ってもない能力だ。強くなりなさい、強くなければ男じゃないわ、と泪は言った。そして、不思議な言葉を口にする。カズミの瞳の奥に宿る光は、自分と同じものだ、と。それにはどんな意味が込められているのだろうか。

ところで、悪魔の形態変化に関して、初台の自室の端末から面白い情報が得られたことを覚えておられるだろうか。悪魔が形態を変化させるのは、ウイルスの働きだという。本来、細胞には寿命があって分裂できる回数が決まっており、しかも、分化すると全能性を失ってしまう。つまり、特定の細胞はその部位の働きしかできないのだ。だが、ウイルスの働きによって、分裂しても細胞は死なず、様々な形に変化するというのである。

単に異常増殖するだけならガン細胞があるが、これはコントロールできないから病気なのである。コントロール可能な、不死かつ全能の細胞。まさに、「パラサイト・イヴ」や「らせん」の世界である。

このウイルス説がうまいのは、昔から、狼男などのライカンスロープは一種の病気で、噛まれたりすると感染するという話をうまく説明できること。メガテン的には、このウイルスに感染するとワーウルフに極めて憑依されやすい体になってしまうということになるだろうか。この場合、自分の変身をコントロールする術はない(例:興奮すると変身する)。これに対し、悪魔はある程度までウイルスを操ることができるわけだ。

爆心地の決闘

カズミはメイを連れて住み慣れた時計台を去っていった。これで一件落着――と思いきや、御田急ハルクを出る直前のところで、ひとりの悪魔人が現れた。アドニスの使いだという。手渡されたのは、挑戦状だった。決闘を申し込む、という。場所は新宿爆心地。例のICBMが落ちたところだ。もし来なければ、1日遅れるごとに1人ずつ人質を見せしめに殺していく、とも。汚い手だ。だが、応じざるをえない。

人の命がかかっている以上、急いで行くべきなのだろうが、慌てず傷を癒し、セーブもしてから向かうのが正解。ただ、あまり粘ると園田にせっつかれるが。新宿爆心地は、直線距離ではあまり遠くないが、ぐるっと道を回らないといけない。必ず何日かは経過することになる。

ちなみに、メイを預かる前に原宿シェルターでセーブしておき、トラポートで飛ぶという手もある。もちろんトラポートが使える仲魔が必要だが、こうすると日にちのロスを最小限に押さえられる。日にちのロスが少ないと、属性がLIGHTに傾くようだ。だがこれは、あくまでもお遊びと考えた方がいい。普通のプレイでこれをやると、後がつらくなるので。

爆心地に着くと、葛城たちの到着が遅れたために、殺された人々が張りつけになっている。地下につながる階段があり、降りてみると、場違いに明るい女悪魔がふたり。決闘は一対一で行われなければならないという。園田は悪魔と人間が一対一では不利だとして反対するが、泪は葛城なら大丈夫だという。園田と泪は別室に連れて行かれた。

悪魔に連れられて階段を下りると、そこは闘技場コロシアムのあるフロアである。闘技場コロシアムではアドニスが待っている。だが、周辺のアイテムを集めながら行っていいのだという。とはいえ、悪魔はウヨウヨしているし、行動不能はそのまま死を意味するから、状況は結構厳しい。間違っても欲張ってアイテムを狙ったりしてはいけない。アイテムは隘路に配置されていることが多く、最悪の場合挟み撃ちに遭うかもしれないからだ。

出現する悪魔は、傀儡ボーンゴーレム、狂人クランキー、邪鬼オークチーフなどが主なところ。闘技場コロシアムの側に回復ポイントがあるので、途中で拾った香で回復しておこう。セーブできる端末もある。

闘技場コロシアムに足を踏み入れると、そこは興奮のるつぼと化していた。悪魔や悪魔人だけでなく、奴隷たちも見物を許されているらしく、これから始まるであろう血の宴を想像して大いに盛り上がっている。また、主賓としてアバドン、ラマシュトウという大物悪魔も顔を見せている。由宇香を喰らったあの悪魔たちだ。

中程まで進むと、アドニスがいる。奴は、今までは数人がかりで卑怯な闘いだった、という。だが、余裕を見せて闘いを挑んできたのはアドニスの方なのだから理不尽である。とにかく、一対一で負けるはずがない、といった風情だ。

一時的に装備・アイテムの類はすべて剥奪される。それでは何のために途中でアイテムを拾ってきたのか、ということになってしまうが、そういうルールだから仕方がない。代わりに与えられたのは、軽量の防具と魔石が5つ。そして、闘いの女神を模したデモノイドが現れ、武器を選べという。剣と槍と斧である。それぞれ、グラディウス、バトルスピアー、バトルアクスに対応する。剣を選ぶのが無難だろう。アドニスは槍を取る。

アドニスの実力は、原宿シェルターのころよりも少し上がっている。臥竜刹のような技を身につけており、魔法攻撃もやや効きにくくなっているようだ。それでも、こちらが魔道に覚醒していて魔力が十分なら、アギラオンの連発で楽勝である。まあ、魔法に頼らなくても手こずるというほどではない。負けることはまずないはず。

アドニスを倒すと、闘技場コロシアムは意外な結果に静まり返る。アドニスに賭けていた連中は、きっと蒼ざめた顔をしていることだろう。ラマシュトウも驚いている。ラマシュトウは、普段からアドニスをかわいがっていた。負けるはずがないと思っていただろう。一方で、アバドンは嘲笑している。

ここで、とどめを刺すかどうか選択を迫られる。武士の情けでとどめを刺さないとすると、アドニスに背を向けて去っていく。うしろからまたまた捨てぜりふ。装備類を返してもらって闘技場コロシアムを去る。とどめを刺そうとしたときは、ラマシュトウが雷撃を放って制止する。もう勝負はついた、と言って。この場合、その先の展開は同じ。だが、とどめを刺すパターンもあるようだ。属性が影響するのかも。

闘技場コロシアムを出ようとすると、泪が飛び込んでくる。そして、驚くべきセリフを吐く。園田が死んだ、と。慌てて園田たちが待機していた部屋に戻ると、たしかに園田は帰らぬ人となっていた。しかも、心臓を喰われるという奇妙な死に方である。悪魔の仕業だろう。だが、悪魔に襲われたのなら、泪はなぜ無事だったのか……?

ここで、園田を弔ってやるかどうかを選択。弔ってやることにして進める。生き返りはしないのに、と泪に甘さを指摘されるが。シェルター育ちとは感覚が違うということか。とにかく、鬼子母神へ。僧侶も園田の突然の死を嘆き悲しむ。しかし、彼も失われた命を戻す術は知らないようだ。園田は荼毘に付される。以後泪とふたりで旅を続けることに。

長い長い旅の始まり

これ以降、より本格的な東京の探索が始まる。かなり自由に動き回れるようになるのだ。そのいくつかのポイントについて、この段階で行けるところに限定して触れておこう。ただし、すでにクリアしたところは省く。初台・原宿シェルター、新宿・代々木労働キャンプなどである。行っても基本的に無駄足になるからだ。取り残したアイテムを取りに行くことは可能だが。この中で、代々木労働キャンプだけは戻れないようになっている。

マイシテーから少し南に行くと、新宿地下街がある。ここは、武器屋、防具屋、道具屋などが存在するが、品ぞろえはあまりよくない。だが、マイシテーとちょっと違ったものが置いてあったりする。たとえば、道具屋にある手榴弾である。これは、追加効果が瀕死であるというのが特徴で、うまくいけば広範囲の敵を一瞬で全滅させることができる。安いので、大量に買っても懐が痛まないというのもうれしいところ。

マイシテーには邪教の館もある。原宿シェルターをのぞけばこの近辺にはここしかなく、いちいち原宿シェルターのB9Fまで潜るわけにもいかないから、事実上ここしかないと言える。あと、新宿地下道に邪龍ワイバーンが出るポイントがある。ワイバーンは攻撃力と体力が極めて高く、今のレベルで正面から戦いを挑むのはつらいだろう。ただ、泪のムドで斃せば、結構稼げるのだ。

やはりマイシテーの近く、慶王ルミネは、アンデッドの巣窟である。もとが百貨店だとは信じられないくらいだ。本当に大量に出現するので、なめてかかるとひどい目にあう。出現する悪魔を挙げると、屍鬼マミーデッド、屍鬼ボディコニアン、悪霊ラルウァイ、幽鬼マンイーターなど。狂人クランキーや、下魔ベルゼブブの下僕なんかも出る。

とくにイベントがあるわけではない。大地の香などアイテムもいくつか手に入るが、大したことはない。毒の泉もあるので注意が必要だ。屍鬼ボディコニアンをダウンロードできる端末が3Fにある。用があるとすれば、これを入手することくらいか。

南の方へ下っていくと、明治神宮がある。初台の端末からの情報によれば、魔界の植物が神宮の森を脅かしていて、切り倒そうとする人に襲いかかってくるということだったが、そんな様子はないようだ。だが、悪魔がいる。邪鬼オークチーフだ。こいつを斃して先に進むと、獣の唸り声がする。それでも進むと、妖獣ガルムが出現。これを斃し、また進むと、ふたたび唸り声。今度は複数だ。それでも進むと、今度はガルムが3匹。今のレベルだと結構手強いが、撃破して奥へ。すると、葛城たちの体は光に包まれる……。

気がつくと、そこは明治神宮の外。いったいどうなっているんだ? 今のところは謎のまま。そのからくりはずっと後になってから判明する。

原宿シェルター近くの東郷神社では、榊が手に入る。これはのちのち重要な役割を果たすことになる。戦闘中に使用すれば、榊についた水が悪魔にダメージを与えるが、威力は期待しない方がいい。奥へ進むと、社殿があって、ひとりの老人がいる。神主さんにしては変な格好だ。彼は、子供のころ日露戦争があって、東郷平八郎がバルチック艦隊を沈めて云々……などと語るのだが、いったいいつの時代の話だ? とにかく、東郷神社は明治神宮を護る形になっているようだ。

もう少し進んで代々木オリンピックプール。妖精ジャック・フロストに大量に会える。床が滑るので、思うように動けない。落とし穴に落ちる。B1Fから下に降り、B2Fには魔法の宝箱が。満月ならばオニキスが手に入る。ただ、ここで重要なのは泉の方。ここもちょっとしたからくりがあるのだが、その話はまたあとで。

さらに南下して渋谷方面に行こうとすると、目に見えない力に阻まれて進めない。千代田線に乗ってもこのエリアから抜け出すことはできないし、六本木方面は瓦礫が積み上がっていて進めない(先に進めないほどの瓦礫の山って、どんなのだろう?)。つまり、行き止まりということ。北上するしかないわけだ。

しかし、北上しても市ヶ谷方面はやっぱり瓦礫で行き止まり。というわけで、まずたどり着くのが戸山シェルターである。

戸山シェルターは、奇妙なシェルターだ。もともとは軍の施設だったという。今や廃墟同然ではあるものの、悪魔の生態系が明らかに他と違う。遭遇するのは屍鬼の類ではなく、デモノイド。つまり人造悪魔である。アルラウネもそうだが、妖樹マンドラゴラ?も、いちおう妖樹ということになってはいるが、これもおそらく人造悪魔だろう。つまり、ここには人の意志が感じられるのだ。

螺旋状の回廊を進んでいく途中、アイテムがあったり泉があったりする一方で、ダークゾーンやターンフロアなどのトラップもそこかしこにある。だが、苦労するのはやはり護衛の(ように見える)デモノイドたちとの戦闘だ。体力があるので、攻撃魔法を連発しないといけない。葛城と泪だけではつらい。強力な仲魔がほしいところだ。おすすめは地母神ヴェスタ。これから先も育てていくことを考えると、相当使える。3身合体で造れる。

MPの回復はレベルアップに頼るほかない。あと、舐める鞭を手に入れたらすぐに泪に装備させよう。攻撃力が格段に上昇するはずだ。端末からマンドラゴラをダウンロードし、戦闘を回避するという手もある。

一番奥まで進むと、別のエリアへ。そこは、うってかわってのんびりした雰囲気のところで、中央の部屋には初老の男性がひとり。この人物は平沢博士といい、サイバネティック技術の権威なのだ。泪が名前を知っているくらいの有名人である。今ではこうしてシェルターにこもって、悠々自適の生活を送っているらしい。迷宮内に配された悪魔たちも、研究成果の応用というわけ。

サイバネティック技術、というと何かとんがったイメージだが、本人はいたって穏和な人で、葛城たちの傷を癒し、お茶までごちそうしてくれる。お茶を運んでくるデモノイドは、タキシードを着たウサギの姿をしていて、まるでおとぎの国の住人のようだ。

ところで、最近ここに別の人間が訪れてきたという。やはり葛城たちと同じく傷つきながら迷宮を突破してきたその人物こそ、誰あろう西野であった。西野は、その後秋葉原方面に向かったという。会えなかったのは残念だが、無事を確認できただけでもよしとしよう。

一度戸山シェルターをクリアすると、以後は近道を使えるようになる。入り口付近の扉を開けて先に進むと、平沢博士のいるエリアに直行できる。後で何度か利用することに。

さて、戸山シェルターから北へ行くと、いくつか見知った場所もある。たとえば、ペンタグランマの秘密基地。ただ、ここには都庁から情報が伝わっており、葛城たちは裏切り者として入れてもらえない。あらかじめ言っておくと、どれだけイベントが進んでも、ここに入れるようにはならないのだ。

鬼子母神も近くにある。とくに用はないが、僧侶の部屋の奥にある、庭池はチェックしておこう。祠と、窪みのある岩。僧侶はそれらにまつわる伝承を教えてくれる。この謎は、物語の後半になって初めてわかる。鬼子母神の近くの目白不動も同じ。目をくりぬかれた不動明王の像があるのだが、この謎もまた、かなり先のイベントと絡んでくるのだ。

東池袋駅から有楽町線に乗ると、瓦礫があって先へ進めない。結局、シャンシャンシティが次なる目標ということだ。マイシテーの酒場で得た情報では、悪魔が管理する牢獄になっているらしい。そういえば、初台の端末情報でも、「悪魔側勢力による巨大なプリズン」が出現したと言っていたっけ。

というわけで、次回、シャンシャンシティから。今回はこのへんで。


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