1973年の挑戦

 1961年、ニューヨークの現代美術館でアンリ・マティスの『川舟』が上下逆さに展示されるという事件が起こったが、展示後46日間誰もそのことに気づかなかった。
 この事件は一応ミスによるということになっているが、私見を述べさせて頂くならこの事件は美術館関係者による入館者数増大のための策略であった疑いがある。おそらく『モナ・リザ』が1911年から1913年まで盗み出されて行方不明になっていた時、多くの観客が『モナ・リザ』の展示されていた壁の空白部を鑑賞するためにやって来ていたことにヒントを得たのであろう。
 それはともかく1973年にはカール・アンドレによって史上最も野心的な芸術作品の展示が行われたが、自然との葛藤のために展示会はわずか1日で終了してしまった。その作品は『アメリカの堕落』という題で、タールを染みこませた12フィート×18フィートの紙の上に500ポンドのコテージチーズを10インチの厚さで乗せ、さらにその上に10ガロンのケチャップをかけたものだった。その視覚的効果もさることながら、嗅覚的効果のすさまじさは筆舌に尽くしがたいものであったらしい。

戻る

抜ける