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「刻々と人は死に、刻々と人は生まれる」とテニスンは詩の一節に書いたが、ある日彼は数学者チャールズ・バベッジから憤慨しているという旨の手紙を受け取った。バベッジによると「刻々と人は死に、刻々と1.0625人が生まれる」と言うのが正しい表現であるらしい。 とは言え文学上の都合で少々事実と異なる表記をするのはよくあることであり、シェイクスピアなどはこの手の常習犯といえる。『ジュリアス・シーザー』では14世紀も早く打鐘時計を存在させているし、これほど時代がずれてはいないものの『ウインザーの陽気な女房たち』でもまだアメリカ大陸にしかないはずのジャガイモを登場させている。 そして何と言っても圧巻なのはラドヤード・キプリングで、『マンダレイ』という彼の有名な詩の一節にはこうある。 「そして夜明けが、雷光の駈ける如くに、湾の彼方、中国から立ち昇る」 だがマンダレイはビルマの西部にあり、湾のむこうはインドであって中国は正反対の方向である。このユーラシア大陸さえひっくり返してしまう彼の度量に人々は感服したのか、キプリングは1907年にノーベル文学賞を授賞している。 |