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ドイツ人といえばその几帳面さで知られているが、かの大哲学者カントはその際だった例といえる。 彼は毎朝5時に起床、紅茶を数杯飲んでからパイプを一服する。7時から講義を始めて午後1時に昼食をとり、それから食後の散歩に出かけるのが2時30分だった。必ずグレーの服に籐製のステッキを持ち、どんな天気の時でも菩提樹の並木の小道に行ってそこを4回往復した。毎日1分と違わず、ケーニヒスベルクの住人は彼の姿を見て時計を合わせたという。もっとも一度だけルソーの『エミール』(一説では『新エロイーズ』)を読みふけってしまい数分遅刻したことがあったが、それは些細な過ちに過ぎない。なお彼は部屋の温度も常にきっかり14℃に保つようにしていた。 これだけの模範的行動にも関わらず、彼が生涯をそこで過ごしたケーニヒスベルクの街は今ではカリーニングラードという名のロシア共和国の都市になってしまった。(統一ドイツ誕生の際、ドイツはこの地の領有権を完全に放棄) どうもこれはカントがビールを嫌悪していたせいではないかと推察される。もっとも彼はウォッカも飲まなかったが。 |