○神獣 獣族系

バロン
 インドネシアの幻獣。人々を守護する「善」の象徴である神獣である。バロンにはいくつかの種類があるが単にバロンと言った場合は獅子に似た姿をしたバロン・ケケットを指す。別名をバナスパティ・ラージャ(「森の王」)と言う。
 「悪」の象徴である魔女ランダと対立する存在であり、全ての魔に対抗する力を持つとされる。使い魔としてブータやカーラと呼ばれる魔物を引き連れる。
 元々は人々を襲う怪物であったらしい。災害を鎮める為に祭られていたものがいつしか聖獣として人々を守護するようになったとされる。善の象徴であるはずのバロンが本来悪身であるあたりはバリ・ヒンドゥー特有の価値観の顕れと言えよう。

ナラシンハ
 ヒンドゥーの神。ヴィシュユの化身とされる獅子頭の半獣人。
 苦行により「神(ディーヴァ)にもアスラにも人間にも獣にも殺されない」力を授かった魔王ヒラニヤカシプを倒した。
 ナラシンハ信仰は中世の一時期に流行し、これが獅子舞のルーツとなったとされる。またタイやスリランカに伝わって神獣ノラシンガになったとも言われる。

白影
 未詳。中国の幻獣白澤(はくたく)の誤りか?
 白澤は人面獅子身の瑞獣で、森羅万象に通じている。黄帝は東海に遊行した際に白澤に遭遇、このとき白澤が世界の鬼怪について語ったのを記録したのが「白澤図」であるとされる。ただし「白澤図」はこの尊い神獣のことを民に広めるためにその姿を描いたものとされることもある。
 同じく中国の幻獣である獏(ばく)や獅子(しし)とはしばしば同一視される。白澤の姿を描いた「白澤図」は縁起物として日本でも流行し、災難や病気、悪夢等から守護してくれると信じられた。