神秘学図書目録

更新:Sep.06,2007

<ご注意>

 当目録はゲームや小説、アニメーション等の創作物においてフレーバーとして登場する数々の文献について、実在非実在を問わずに収録したものであり、学術的に正確であることを期して製作されたものではありませんのでご注意下さい。

 原則として書名はもっとも普及していると思われるもので表記している。基本的に英語名を併記しているが、一部のものについてはそのまま原題を併記している。併記のないものは日本でのみ確認されている文書である。
 内容解説は編者の独断と偏見に基づく為、必ずしも正確ではない部分が存在することを注意しておく。

 ○『赤き龍』 Red Dragon

 1822年に出版された魔道書。原典は1522年に出版されたものとされているが真偽は疑わしい。
 その内容には『大いなる教書』と共通するところが多い。

 ○『悪魔崇拝』 Daemonolatreia

 異端審問官ニコラス・レミがレメギウスという筆名で記した書物。1595年に刊行。
 魔女と妖術に関する資料集で、魔女裁判のおりに審問官の参考書として重用された。

 ○『悪魔性』 Daemonialilitas

 フランチェスコ会修道士ルドヴィゴ・マリア・シニストラリが記した書物。1875年に完全版が発見されている。
 主に夢魔に関する問題を扱っている。

 ○『悪魔の本性について』 De Natura Daemonum

 イタリアの悪魔学者ジョヴァンニ・ロレンツォ・アナニアの著書。

 ○『アトランティスと失われたレムリア』 Atlantis and the Lost Lemuria

 英国の神秘家ウィリアム・スコット・エリオットが1896年に著した書物。
 彼は霊視によってアトランティス人の生活を知り、それを記したというが、内容には疑問の残る点が多い。

 ○『暗黒の儀式』 Black Rites

 古代エジプトのバステトの神官ラヴェ・ケラフの記したという魔道書。

 ○『暗黒の大巻』 Black Tome

 古代の大魔道士アルソフォカスが記したという伝説の写本。
 旧支配者を召喚する数々の呪文が記されているという。

 ○『イエズス会士の真性魔法書』 Verus Jesuitarum Libellus

 1845年に「復刻版」としてドイツで出版された魔道書。1875年には英訳版も登場している。本書の原典は1508年にあるイエズス会士によってラテン語で著されたとされるがこれは完全な虚偽である。(※イエズス会設立は1534年)
 内容は主に各種悪魔の召喚法であるが、その記述には疑わしい点も少なくない。

 ○『異界黙示録』

 著者不明の魔道書。異界に存在する様々な存在に詳しく、召喚に関しての記述が豊富である。
 『グラーキの黙示録』と同一かあるいは源を同じくする文書であるとの説も存在している。

 ○『ヴォイニッヒ文書』 Voynich manuscript

 古書籍商ウィルフレッド・M・ヴォイニッヒが1912年に入手した解読不能の文書。一見するところ植物誌のように見える。イタリアのフラスカッティにあるモンドラゴーネのイエスズ会修道院にて発見されたという。
 一緒に発見された書状から、これが以前はプラハに存在し、アタナシウス・キルヒャーの手に解読が委ねられたことが判明している。それ以前の出自については定かではないが、一説によるとジョン・ディー博士によりイギリスから持ち込まれたものであるといい、『エノク書』と同一の文書では無いかと見る向きもある。一方でロジャー・ベーコンの手による書物ではないかとも推測されているが、未だ解読はなされていない。なお現在の所有者はエール大学である。

 ○『エイボンの書』 Book of Eibon

 古代ヒューペルボリアの大魔道士エイボンにより著されたとされる魔道書。『象牙の書』とも呼ばれる。(こちらが原題か?)
 13世紀頃にアヴェロワーニュの魔道士ガルパル・ドゥ・ノルドによってラテン語に訳されており、そののち英語版とフランス語版も作られたらしい。
 暗黒の神話や呪文、儀式、典礼の一大集成であり、『ネクロノミコン』にも欠落している禁断の知識が数多く記されているという。

 ○『エノク書』 Book of Enoch

 ジョン・ディー博士の手によるとされる解読不能の文書。別名『ロガエスの書』とも呼ばれる。正式には大英図書館書所蔵スローン稿本3189番という文書である。
 『ヴォイニッヒ文書』と同じくロジャー・ベーコンの手による書物ではないかともいわれている。1977年のデヴィッド・ラングフォードによるコンピュータ分析による解読によるとこれはディーの訳したネクロノミコンの原本であるという。

 ○『エメラルド板』 Emerald Tablet

 エメラルドの板にフェニキア文字で刻まれて書かれたというヘルメス・トリスメギストゥスによる伝説的魔道書。伝説ではアブラハムの妻サラあるいはテュアナのアポロニウスによってヘルメス・トリスメギストゥスの墓で発見されたと言う。数種のアラビア語版が出された後、1200年頃までにラテン語版が出版されている。ただし翻訳の内容は千差万別である。
 エジプト哲学と宇宙の魔術的奥義を記していると伝えられるが内容のほとんどは意味不明の文章である。なお『ヘルメス文書』との関連については不明。

 ○『エルトダウン陶片』 Eltdown Shards

 20世紀初頭に英国南部で石炭紀以前の地層から出土した粘土板に刻まれていた古代文字を、1912年にサセックスの牧師アーサー・ブルック・ウィンタース=ホールが解読し、自費出版で刊行した古代文書。
 <大いなる種族>に関する言及があるという。

 ○『大いなる教書』 Grand Grimoire

 おそらく17世紀ごろにフランス語で著された魔道書。
 黒魔術の書であるが、とくに死霊術(Necromancy)に関する記述に詳しい。

 ○『大いなる秘法』 Ars Magica et Ultima

 『普遍的魔術』とも訳される。13世紀の錬金術師ライムンドゥス・ルルスが著したとされる書。
 元々はイスラム教とを改宗させる目的で書かれたという。

 ○『”黄金の心”の書』

 詳細不明。城西市事件の記録に見られる。一説では魔術的音楽に関する文書であるという。

 ○『金枝篇』 The Golden Bough

 英国の人類学者J・G・フレイザーが1890年に刊行した書物。
 呪術・宗教の発生と変遷に関する民俗・宗教学の古典的名著である。
 かつては魔術上の価値も多いに認められていたが現在の評価では単なる研究書とされている。

 ○『クトゥルー教団』 Cult of Cthulhu

 ブラウン大学のジョージ・ギャマン・エインジェル教授の残した草稿。
 クトゥルー信仰に関する広範な調査の集大成であるが、1927年に同教授が不可解な横死を遂げたことより執筆が中断した。

 ○『グ=ハーン断章』 G'harne Fragments

 1934年にウィンドロップという探検家によりアフリカから持ち帰られた文書。最初の解読部分が<グ=ハーン>に関する記述であったことからこの名がある。なお原本は大英博物館に所蔵されている。
 <古のもの>によって書かれた文書の写本であるらしく、超古代遺跡に関する情報に詳しいという。

 ○『グラーキの黙示録』 Revelations of Glaaki

 ブリチェスター一帯に伝わる著者不明の魔道書。
 異界に関する記述が詳しく、数々の奇怪な図版も納められているらしいが、完全なものはほとんど現存していない。

 ○『黒い雌鶏』 Black Pullet

 18世紀後半にローマで出版された古代の写本に基づくとされる魔道書。
 内容の多くは魔除けと魔方陣に関する記述である。

 ○『黒魔術神髄』 True Black Magic

 1750年に出版された魔道書。
 その内容のほとんどは『ソロモンの鍵』に依拠するものである。

 ○『黒魔術と契約の書』 Book of Black Magic and of Pacts

 1898年に【黄金の夜明け】団の指導者アーサー・エドワード・ウェイトによって著された魔術教書。
 2部構成になっており、第1部では他の諸々の教書を論じており、第2部が黒魔術についての教書となっている。

 ○『賢者の石について』 De Lapide Philosophico

 神学者トリテミウスによる錬金術書。
 錬金術の基本的文献として名高い。

 ○『黄衣の王』 The King in Yellow

 読む者に災いをもたらすという黄色い表紙の書物。特にその第二部を目にした者には破滅が待ち受けているという。
 ハスターやヒヤデス星団の秘密についても記されているらしい。

 ○『サセックス断章』 Sussex Fragments

 詳細不明の魔道書。

 ○『サントゥー石版』 Zanthu Tablets

 1913年、H・H・コープランド教授が中央アジア奥地の古代ムー大陸の魔道士サントゥーの墓であるといわれる遺跡にて発見した10枚の黒い翡翠の石版。同教授はその一部を解読し1916年に私家版の形で刊行したが、後に発禁処分になっている。
 ムー大陸滅亡の際にサントゥーが持ち出した古代の教典と推定されている。

 ○『サンの七秘聖典』 The Seven Cryptical Books of Hsan

 『大地の七秘聖典』(The Seven Cryptical Books of Earth)とも呼ばれる。『フサンの謎の七書』等と訳されることもある。古代の神々に関する秘典らしいが詳細は不明。原書は中国に伝わる『冱山七密経典』であるともいわれる。「冱山」(Hu San)はレン高原の中国名であり、そこを経由してドリームランドから伝わったものらしい。なお同書は鎌倉時代頃までに日本に伝来していたらしい。日本での題は『惨之七秘聖典』と伝えられている。日本語に訳されたかは不明。

 ○『屍食教典儀』 Cults of Ghoul

 オーガスト・ダーレスの祖先ダレット伯爵が記した書物。原題は『Cultes des Goules』。ミスカトニック大学他に現存が確認されている。

 ○『深海祭祀書』 Unter-Zee Kulten

 ドイツで書かれたらしい海中の魔物に関する魔道書。

 ○『真実の教書』 Grimorium Verum

 『ソロモンの鍵』を手引きとしてフランス語で書かれた魔道書。あるドミニコ会修道士によりヘブライ語から翻訳され、エジプト人アリベックにより1517年に出版されたとされているが、実際には18世紀中ごろのものと見られている。

 ○『水神クタアト』 Cthat Aquadingen

 著者不明の伝説的魔道書。世界に3冊しか現存していないらしい。そのうちの1冊は大英博物館に所蔵されているが閲覧は許可されていない。
 クトゥルー、オトゥームなどの水の旧支配者を召喚する呪文や儀式の集大成であるという。

 ○『水凄動物』 Hydrophinnae

 ガントレイという人物が著したらしい書物。
 海の魔物への言及を数多く含む。

 ○『西欧の魔女信仰』 Witch-Cult in Western Europe

 英国の歴史民俗学者マーガレット・マレー女史が1921年に刊行した研究書。
 魔女信仰がキリスト教以前の土着信仰の残滓であるとの説を提示した古典的著作。

 ○『セス・ビショップ抜書』 Seth Bishop's Extracts

 セス・ビショップの残した木製表紙の大冊。同氏の失踪後にアイルズベリイの自宅で発見された。
 『ネクロノミコン』『屍食教典儀』『ナコト写本』『ルルイエ異本』からの抜粋を筆写した文書。

 ○『セラエノ断章』 Celaeno Fragments

 セラエノの大図書館に壊れた石版の形で残されているという禁断の書。シュリュズベリイ博士によって写本が地球に持ち込まれ、英語版が作成された。その原稿はミスカトニック大学付属図書館に保管されている。
 旧支配者たちの秘密が記されているという。

 ○『ゾハールの書』 Zohar

 13世紀後半にスペインで書かれたカバラの教典。

 ○『ソロモンの鍵』 Key of Solomon

 ユダヤの伝説的王、賢者ソロモンによって著されたという魔道書。1世紀ごろには既に存在が確認されている。以後年月を経るほど分量、内容が拡大し、数々の翻案が生まれてため原典の姿はすっかり失われている。12世紀ごろのギリシア語版が大英博物館に所蔵されており、17世紀以降には広く一般に流布するまでになった。
 魔術書の中ではもっとも権威のあるものとされており、悪魔召喚の呪文が数多く記載されているらしい。

 ○『多元複写法』 Poligraphia

 神学者トリテミウスが著したカバラに関する書物。

 ○『探求の書』 Liber-Investigationis

 8世紀にアラビアの錬金術師ゲーベルが書いたとされる錬金術書。

 ○『知慧の鍵』 Key of Wisdom

 錬金術師アルテフィウス(Artephius)の手による錬金術書。原書は12世紀ごろのものらしいが、現存するものは1609年にパリで刊行されたものと、1785年にフランクフルトで刊行されたものだけである。

 ○『ドール讃歌』 Dhol Chants/Doel Chants

 詳細不明の魔道書。ミスカトニック大学図書館に一部が所蔵されているという。
 ドール(Doel)、ドール族(Dholes)との関係は不明。

 ○『ナコト写本』 Pnakotic Manuscripts

 人類誕生の5000年前に存在していた種族が残したという最古の魔道書。古代北極のロマールにおいて人間の言語に翻訳されたという。ロマール滅亡の際に最後の一冊がウルタールの寺院に持ち込まれたという。現存が噂されているが詳細は定かではない。

 ○『日本古代文明論』

 北山大学文学部史学科教授の吾妻道夫の著書。詳しい経緯は不明であるが、発売後すぐに絶版になっており、入手はかなり困難。
 古代日本に強力な呪術国家が存在していたことを主張する論文であるが、内容があまりにオカルトめいていたため、学会からは黙殺されたままになっている。

 ○『ニューイングランドの楽園における魔術的怪異』 Thaumaturgical Prodigies in the New-English Canaan

 アーカムの神父ウォード・フィリップス師によるプロディヴァンス一帯での邪教崇拝に関する記録。

 ○『ネクロノミコン』 Necronomicon

 『死霊秘法』とも訳される。730年に”狂えるアラブ人”アブドゥル・アルハザードによりダマスカスで執筆された禁断の魔道書。原題は『アル・アジフ』(Al Azif)。現在の名は950年にテオドラス・フィレタスによってギリシア語に翻訳されたときの書名による。このギリシア語版は1050年にビザンチンの総主教ミカエルによって焚書に処されている。1228年にはオラウス・ウォルミウスによりラテン語に訳されるが、こちらは1232年にローマ教皇グレゴリウス9世により発禁処分となる。しかし15世紀にドイツでゴシック体版(
)が、17世紀にスペイン語版が密かに刊行された。また16世紀頃にイタリアでラテン語版が復刻されている。1560年にはジョン・ディー博士により英訳され、1571年に英訳版が刊行されたというがこれは不完全なものしか伝存していない。(これについては『エノク書』の項目を参照せよ)1777年にも英訳版が刊行されている。
 一方、詳細は不明だがこれとは別のルートで元代に中国へ伝来し、中国語版が作成されたらしい。題は『尸条書』(Shi Tiao Shu)らしいが存在は確認されていない。一部では同書の日本流入もささやかれているが、まだ単なる推測の域を出ていない。
 現存する版本の多くは17世紀版で、ハーバード大学ワイドナー図書館、パリ国立図書館、ミスカトニック大学付属図書館、ブエノスアイレス図書館などに所蔵が確認されている。完全なものは世界に5部しか現存していないという。
 複雑多岐にわたる魔道の奥義が記されており、それ故か魔道書そのものに邪悪な生命が宿ることもあるという報告がなされている。

注)
ヨーロッパでいうゴシック(ゴチック)体は英語ではブラック・レター、ドイツ語でフラクトゥーア体と呼ばれるもので、アメリカ・日本でいうゴシック体は実際にはサンセリフ体のことである(意味が転移している)。ゴシック体はその後19世紀までにローマン体によって駆逐されており、出版物に用いられることはほとんどなくなっている。アメリカ・日本でいうゴシック体(サンセリフ体)は20世紀になってグロテスク体として(この名が訛ったという説もある)出発したものである。

 ○『ネクロノミコンにおけるクトゥルー』 Cthulhu in the Necronomicon

 ラバン・シュリュズベリイ博士による膨大なクトゥルーとその一派に関する未刊の研究書。その原稿はミスカトニック大学図書館に所蔵されている。

 ○『秘教古伝』

 大正十年ごろに奈良南都大学の教授無崎岑喬が明智呈三という筆名で著した研究書。
 日本各地の地方宗派や仏教遺跡について神秘学的考察を加えている。

 ○『淵みに潜む者』 Dwellers in the Depths

 ガストン・ル・フェが記した海の魔物に関する書物。

 ○『墳墓の屍体嗜食』 De Masticatione Motuorum in Tamulis

 ミハエル・ランフトが1734年に刊行した書物。

 ○『ヘルメス文書』 Hermetica

 ヘルメス・トリスメギストゥスによって著されたという伝説的神聖文書。全42巻から成り、その内訳は占星術関連4巻、法制関連10巻、式典関連10巻、医学関連6巻、音楽関連2巻、その他書法、地理、数学、測量等に関する巻である。アレクサンドリアの大図書館に所蔵されていたらしいが、同図書館が焼け落ちたときに一緒に灰になったらしい。ただし焼失を免れた一部の巻は砂漠の秘密の場所に隠されたという。
 わずかに残った断片は再編されて幾つかの文書にまとめられた。その中で最も有名なものは『奥義集』と呼ばれる文書である。ただし紀元後の数世紀の間に何度も改訂され、その間に原本とはかけ離れたものになったという。

 ○『ホノリウスの教書』 Grimoire of Honorius

 1629〜1670年ごろにローマで何度か出版された魔道書。著者は魔術師教皇ホノリウスと伝えられているが、偽書の疑いが濃厚。
 カバラに関する書物とされているが、内容的にはキリスト教の影響が強く、また魔道書としての価値もあまり高いものではない。

 ○『ポナペ島経典』 Ponape Scripture

 A・E・ホーエイグという船長が1734年頃南太平洋の探検中にポナペ島で発見し、アーカムに持ち帰った経典。ヤシの葉でできたパーチメントに書かれているらしい。
 ムー大陸に関する秘密が多く書かれているという。

 ○『ポナペ島経典から考察した先史時代の太平洋海域』 The Prehistoric Pacific in the Light of the 'Ponape Scripture'

 1911年刊行のH・H・コープランド教授の著作。

 ○『ポリネシア神話−−クトゥルー神話体系に関する一考察』 Polynesian Mythloy, with a note On The Cthulhu Legend-Cycle

 H・H・コープランド教授が1906年に刊行した論文。
 やや異様なオカルト理論を含むものの、旧支配者に関する科学的研究の大作と見なされている。

 ○『魔術』 Magus

 1801年にロンドンで出版されたフランシス・バレットの手による魔道書。
 その内容は自然魔術、数秘学、四大、護符魔術、錬金術、祭儀魔術、……と極めて多岐にわたり、ある種研究書的な要素さえ含んでいる。

 ○『魔術師アブラ・メリンの聖なる魔術の書』 Book of Sacred Magic of Abra-Melin in the Mage

 ヴュルツブルグの魔術師アブラメリンが息子のために1458年に書いたとされる魔術教書。ただし18世紀の著作との疑いが強い。

 ○『魔術史序説』 Prolegomena zu eine Geschichte der Magie

 経済史学者にして魔術研究家であるスタニスラウス・ヒンターシュトイザー博士が1943年に刊行した全3巻の研究書。
 出版後直ちに押収処分となったため内容の詳細は不明だが、押収を逃れた一部のものが現存している。

 ○『魔女たちへの鉄槌』 Malleus Maleficarum

 二人のドミニコ会修道士にして異端審問官ヤーコプ・シュプレンガーとハインリヒ・クラメールによって著され、1486にドイツで出版された魔女狩りの手引き書。魔女裁判において最も重用された書物で、1520年までに十四版を重ね、1669年頃までにさらに十六版を重ねている。
 内容は魔女や悪魔の魔術の内容やその防止法、魔女であることを証明するための方法などであるが、曖昧なものや明らかに矛盾しているものも存在する。

 ○『魔法哲学』 Turba Philosopharum

 『哲学者の一群』とも訳される。ヘルメス・トリスメギストゥスによるという書物。
 『ヘルメス文書』の断片集の一つと思われるが、『エメラルド板』との関連を唱える説も存在する。

 ○『無名貢皇書』

 詳細不明。城西市事件の記録でわずかに言及されるのみである。『無名祭祀書』と同一のものか?

 ○『無名祭祀書』 Nameless Cults

 フォン・ユンツトが世界各地で耳にした奇怪な伝承を書きとどめた禁断の書物。ドイツ語での原題は『Unaussprechlichen Kulten』。1839年にデュッセルドルフで刊行された。その後1845年にロンドンで誤訳の多い海賊版(これは『黒の書』とも呼ばれる)が、1909年にニューヨークのゴールデン・ゴブリン・プレス社から入念な削除版が刊行されている。デュッセルドルフでの初版本は現在ではほんの数冊しか現存していないといわれている。
 内容には古代の石碑や秘密宗派の教典から写し取られた古代文字が含まれているという。

 ○『モーゼの第七の書』 Seventh Book of Moses

 中世以降に偽作されたらしいカバラの魔術書。第八、第九の書も出現している。
 なおモーゼの第一〜第五の書とはそれぞれ旧約聖書の『創世記』、『出エジプト記』、『レビ記』、『民数記』、『申命記』のことであり、第六の書は『ヨシュア記』を指す。

 ○『師資捜奇伝』

 鎌倉中期頃に大江重則という下級貴族が著したらしい古文書。
 藤原師資という人物が崇めた邪教に関する記録であり、<産佐須良>、<星之御子>なる神への言及が見られる。

 ○『モンマスシャー、グロースターシャー、バークリィでの妖術覚え書き』 Notes on Witchcraft in Mommouthshire, Gloucestershire and the Berkley Region

 サングスターという人物が記した文書。
 モンマスシャー、グロースターシャー、バークリィ地方にまつわる怪奇現象の数々を記録している。

 ○『妖術師論』 Discours des Sorciers

 フランスの法学者・悪魔学者・魔女裁判官のアンリ・ボゲが1602年に刊行した著作。
 魔女と魔術の事例に詳しく、悪魔学の古典的名著として有名。

 ○『妖蛆の秘密』 Mysteries of the Worm

 ルドゥイク・プリンにより執筆された魔道書。原題は『De Vermis Mysteriis』
 様々な禁断の知識が記されているが、特に中東地域の異端的信仰に詳しいという。

 ○『ヨス写本』 Yothic manuscripts

 地球内部の異世界ヨスの最大の都市ジン(Zin)の地下から発見された古代文書。地上に持ち込まれたかどうかは不明。
 ツァトゥグアの縁起が記されているという。

 ○『瑠璃江写本』

 城西市瑠璃江付近の古墳より出土した古代文字の拓本。破魔術の奥義について記されているという。

 ○『ルルイエ異本』 R'lyeh Text

 1920年前後、エイモス・タトルという人物がアジア内陸部(詳細不明)で入手したという人間の皮で装幀された写本。その後ミスカトニック大学付属図書館に寄贈されたらしい。
 これの元本は夏王朝時代の『螺湮城本伝』『螺湮城教本』とも)という文書だといわれるが詳細は定かではない。なおそれ以前の原本はルルイエ語で書かれた文書だったという。
 一説によると15世紀にフランソワ・プレラーティという魔道士によって一部がイタリア語に訳されたらしい。ただしこれの元本の由来については明らかでない。
 異界のものの召喚を主とした様々なおぞましい呪法が記されているという。

 ○『ルルイエ異本による後期原始人の神話の型の研究』 An Investignation Into the Myth-Patterns of Latterday Primtives With Especial Reference to the the R'lye Text

 ラバン・シュリュズベリイ博士の著作。(刊行年不明)

 ○『レメゲトン』 Lemegeton

 別名を『小ソロモンの鍵』 Lesser Key of Solomon といい、やはり賢者ソロモンがその著者であるとされる魔道書。
 4部構成になっており、白魔術および黒魔術に関する膨大な情報が書かれているという。

 ○『錬金術研究覚え書き』 Remarks on Alchemy

 英国の神秘家E・A・ヒッチコックが1865年に著した書物。

 ○『錬金術の鍵』 Clavis Alchimiae

 英国のカバラ学者ロバート・フラッドが1633年に刊行した著作。
 錬金術とカバラを擁護する文書といわれている。