第5章 女神の微笑み


新たな出会い

御茶ノ水シェルターが再興したら、次の目標は秋葉原だ。西野隊長がこちらへ向かったという話もある。御茶ノ水シェルターの情報からも、秋葉原から銀座へ向かうルートが正解だとわかるはずだ。

秋葉原は、御茶ノ水シェルターの近く、やや北に位置する。すぐに見つかるだろう。葛城たちが秋葉原に到着し、駅ビルに入って歩き出すと、そのとたん誰かにぶつかる。男だ。彼は、葛城たちのアームターミナルを見て話しかけてくる(このとき瀕死だと、応急処置をしてくれる)。こちらが初台出身のデビルバスターであることを告げると、彼も最近まで、鬼子母神で知り合った初台出身のデビルバスターと行動をともにしていたと話す。

西野隊長に間違いない。消息を訪ねると、男の顔が曇った。言いにくそうに口を開く。西野は……護国寺でアスタルテの襲撃を受け、亡くなったという。西野隊長が死んだ……。葛城たちにとっては大変なショックである。男は、1枚のカードを差し出す。それは小さなプロジェクターで、スイッチを入れると、陽子と知多が寄り添い、微笑む姿のホログラムが映し出された。西野の、唯一の形見だった。

男は、相馬三四郎と名乗った。悪魔にやられて片腕を無くしたため、サイバーアームを仕入れに秋葉原にやってきたという。大破壊前に生き別れた人を捜していて、銀座に向かおうと思っているらしい。パーティーへの参加を申し出てくる。進む方向は同じ。ありがたく受けることにする。これで再びパーティーは3人に。

ここでちょっと疑問がある。まず、相馬はサイバーアームを仕入れにきたと言ったが、秋葉原を出るところだったにもかかわらず、サイバーアームを装着していない。欲しいものがなかったのか。もう一つの疑問は、相馬の年齢だ。若く見えるが、大破壊前にすでにそれなりの年齢だったようだから、下手すると30歳以上ってことに……。謎だ(偽典の設定が2012年以降であることについては、追補Aを参照)。

さて、秋葉原を回ってみよう。さすがは元電気街だけあって、たくさんの店が並び、サイバネティック用のパーツ類が所狭しと置かれている。市ヶ谷よりもずっと安上がりだが、その代わりジャンクも多いらしい。B1Fには邪教の館とコンピュータ端末がある。端末からはセーバーIIIを入手できる。3Fのターミナルでのセーブも忘れずに。

コンピュータショップは、やはり品揃えが豊富。初台の端末情報では、『DCSマブダチくん』を宣伝していたが、ちゃんと置いてある。10,000マッカもする高級品だが、悪魔との対話で友好度がアップする。といっても、目に見えるわけではないので、あまりお買い得感はない。別の場所で入手できることもあって、無理して買う必要はない。武器屋にはなかなか強力な銃や弾丸がある。防具屋は、悪魔用の装備が多い。道具屋は、手榴弾類(GNDはグレネードの略)が各種そろっているが、これも大して重要ではない。

ただ、ひとつだけ、天叢雲剣レプリカは面白い性質を持っている。それ自体はレプリカにすぎず、威力はないのだが、霊力を吸収すると別の強力な武器に化けるのだ。たとえば、これを代々木オリンピックプールの地下の泉に持っていくと、氷狼剣と交換してくれる。だが、これは厳密には「交換」ではないと思う。氷狼剣にパワーアップした天叢雲剣レプリカを返してくれているのだ。このとき、調子に乗って氷狼剣をジャックフロストに振り回したりしないように。とんでもない目にあうだろう。

2Fでは、ばったりカズミと出くわす(このとき瀕死だと、薬を飲ませてくれる)。御田急ハルク以来だ。あのときは園田も一緒だった。カズミに園田の死を伝えるのは、つらいことだ。彼の方は、メイを平沢博士に預け、修行のため各地を放浪しているらしい(第4章参照)。目的は修行だけでなく、博士に頼まれて「アリス」を捜してもいるという。まだ見つかっていないようだが。

今のパーティーにさらにカズミが加わってくれれば、願ったり叶ったりである。しかし、カズミはひとりで修行を続けるという。メイを一人で守りきるための力を磨きたい、と。挨拶を交わして去っていくカズミ。彼とはまた別の場所で再会することになる。

背徳の医師

葛城たち一行が秋葉原駅ビルを出て歩き出そうとしたそのとき、ひとりの謎の男が現れる。男は小柄で丸いメガネをかけていて、いかにも怪しげな風貌だが、さらに怪しいのは、広げたマントになにやらがらくたをいっぱい引っかけていることだ。その男が話しかけてきた。

どうやらジャンク屋のようだ。そのがらくたを売りつけようとする。一着の制服を取り出した。デビルバスターのものだ。それを見たとたん、英美の表情が一変した。男からその制服をひったくり、ジャンク屋の非難をよそに熱心に眺め始めた。

その制服は、早坂のものだった。ということは、こいつは早坂の消息を知っているのか? 情報を聞き出そうとするが、下手に出てもジャンク屋は口を割ろうとしない。となれば、力ずくでも……。銃を空に向けて撃ち、剣を抜いて男の首筋に突きつける。何せこっちは戦闘経験を積んだ戦士が3人。野垂れ死んでもいいのか、と脅すとさすがに怯えて喋る気になったようだ(かなりDARKなやり口ではある)。

ジャンク屋の話では、制服はミレニアム総合病院のゴミ捨て場で見つけたらしい。急いで葛城たちはそこへ向かう。

ミレニアム総合病院は、秋葉原から見てもかなり東に位置するのだが、ここでは移動を省略してすぐに到着してくれる。病院内で話を聞いて回るわけだが、最初はらちが明かない。英美が止めるので外に出ることもできない。実は、地下の病棟へ向かわなければならないのだ。

階段を下りてB1Fへ。しばらく歩くと、さっき出会ったジャンク屋にまた遭遇する。驚いて逃げ出すジャンク屋。南西の部屋で、再び見つかる。「ここもバレちまったか」と悔しそうだ。その部屋は例のゴミ捨て場で、ただのゴミだけでなく、急患として運ばれてきた患者が亡くなったあと、不要になったものも廃棄しているようなのだ。ジャンク屋はそれを漁っているわけである。リサイクルだ、と奴はうそぶく。早坂の制服もここで見つけたのだという。それ以上のことは、本当に何も知らないようだ。解放してやると、抜け目なくテーブルの上にあったがらくたや古着をまとめ、さっさと逃げていった。

やはり自力で探すしかない。制服を見せながら病室を丹念に聞いて回る。すると、話し相手になってあげた子供の話から、やはり早坂が急患として運ばれてきたことが分かる。さらに、1F・2Fでも情報収集。早坂は大火傷を負っていたらしい。手術を担当したのは山本という医師だったようだ。また、医師と死体回収業者が癒着しているらしいという噂も聞ける。

情報に従って地下の病棟へ戻り、山本医師を発見。早坂の安否を尋ねる。医師のようにプライドの高い人間を相手にするときは、最初は下手に出るのが得策というものだ。すると、山本医師は「彼は亡くなったよ」とこともなげに言う。手は尽くしたというのだが。

ところが、ジャケットを見せると、山本医師の表情が一瞬変わった。本来なら遺体とともに埋葬されるはずのジャケットが、なぜゴミ捨て場にあったのか。出所を聞いても、山本医師は巧みにしらばっくれる。遺体についても関係者以外には見せられない、の一点張り。だが、会話をアームターミナルに録音されていることを知ると、観念した山本医師は、ついに降参して白状する。

密かに死体回収業者と癒着していたのは彼であり、早坂の死体も業者に売り飛ばしてしまったという。さすがの彼も東京中を神出鬼没に動きまわる死体回収業者の動きまでは知らないようだが、死体の買い付け先は、たいてい市ヶ谷の研究室らしい。そこで実験に供されるというのか。そういえば、初台の端末情報でも「臓器移植用の各種パーツを求めている」とかいうのがあったが、死体まで集めているとは恐れ入る。とにかく、次に向かうべきところは、市ヶ谷シェルターのようだ。

市ヶ谷シェルターで日下章人に会う。日下は、死体回収業者から死体を購入していることをあっさり認めた。あくまで研究用、ということらしいが、それが役に立つとはいっても、こういう人間はやはり普通の人とは道徳観念が少し違うらしい。

培養槽エリアへ向かう。そこには、変わり果てた早坂の姿があった。といっても、大火傷の痕は修復されていて、今にも動き出しそうにさえ見える。たまらず英美が駆け寄る。だが、日下の力をもってしても、失われた魂を呼び戻すことなどできはしない。英美はその場に泣き崩れた。

しかし、日下によれば、長時間が経過した死体であっても、肉体のみを蘇生させることは可能だという。それは中身のない器のようなもので、赤子のように何らの記憶も持ってはいない。だが、それでもいい、と英美は言った。泣き腫らした目に、固い決意を宿らせて。早坂を蘇らせてほしい、と。

蘇生には莫大な費用がかかるという。そこで、英美は日下の元で働くことを申し出る。シェルターで最新の医療を学んだ知識が役に立つはずだ、というのだ。日下は唖然とした表情を浮かべたが、すぐに笑い出した。面白い、と日下は言う。最近外来の患者が増えてきて、研究に専念できなくなっていたところだったとか。それに、最新医学の知識がある人間もそう多くはない。英美は採用され、助手として働くことになった。

愛する恋人を失った悲しみが、逆に彼女を強くした。たとえ何年かかっても、早坂を復活させるまで働くつもりのようだ。蘇生に失敗したり、成功したところで後悔する可能性も、すべて承知の上である。葛城には、そこまで心を決めた英美を引き留めることなどできなかった。

また、ふたりで旅を続けることになった。今度こそ目標は、銀座である。

……と言ってこの節を締めようと思ったのだが、やっぱりどうしても疑問が残る。早坂の肉体を蘇生させるというのは、どういうことなのだろう。生物学には詳しくないので何とも言えないが、活動を停止した細胞組織を再活性化させるのだとしたら、少なくとも一部は古い記憶が残っていてもいいはずであろう。死体の体細胞からクローンを作るわけではないのだから(それができたとして、の話だが)。この点について、制作者がどう考えているのか、ぜひ知りたいところだ。

襲撃

地上を歩いて銀座に行くことはできないので、地下鉄の路線を利用する。ここでは、銀座につながっている日比谷線だ。実は、有楽町線を護国寺で降り、千駄木から千代田線に乗ると大手町に出られてしまうのだが、これはバグだろう。あとの展開に支障をきたすおそれがあるので、お勧めできない。

秋葉原駅ビルを出てすぐのところに、秋葉原駅がある。日比谷線のホームに降りたいのだが、おびただしい量の瓦礫が積み上がっており、入口が塞がれてしまっている。思案に暮れていると、相馬がつぶやく。「これくらいなら何とかなるかもしれない……」。相馬が「土蜘蛛!」と一声呼ぶと、地中から本当に土蜘蛛が現れた! タオの式神の術のようにも見えるが、呪符を用いないところからすると神通力の一種らしい。

土蜘蛛は相馬の命令に従い、あっという間に瓦礫の山を崩していく。そして、入口が現れた。相馬からねぎらいの言葉を受け、再び地中へと戻っていく土蜘蛛。このような術を操る相馬三四郎とはいったい何者なのか。

少しばかり謎を明かすと、相馬三四郎もコミック版とつながりがあるという。コミック版のタイトルは、「真・女神転生 東京黙示録」。偽典も正式なタイトルは「偽典・女神転生 東京黙示録」だ。つまり、もともと偽典はコミック版を意識して作られたのだ。コミック版の主人公は相馬小次郎といい、平将門の生まれ変わりだという(第8章参照)。そういえば、「真・女神転生RPG 基本システム」(参考・関連文献参照)のツチグモの解説には、「コミックでも、相馬小次郎を国津神の盟主と仰ぎ、忠誠を誓っている」とあった。相馬三四郎が土蜘蛛を使役できることの、伏線である。

日比谷線の線路をしばらく進むと、銀座に到着。階段を上ると、そこは銀座地下街(B1F)である。ここは結構広い。施設が充実していて、しかもいくつもの路線が乗り入れているので、これから先も重要な拠点となるだろう。

まずはターミナルでセーブ。その後、街を回ってみよう。武器屋、防具屋ともになかなか優れた品揃えだが、悪魔用のものが多い。コンピュータショップには秋葉原よりグレードの高いソフトさえある。セーバーIVあたりを買っておいてもいい。道具屋、薬屋は並。病院では仲魔も含めて治療してくれるのでありがたい。酒場からはいくつかの有益な情報も。近くに、『イシュタルの槌』と『母なる金星』という教団があるようだ。

しかし、ちょっと奇妙な感じがしないだろうか。これだけ広い地下街にもかかわらず、普通ならあるはずの邪教の館が見あたらない。しかも、ターミナルからマップをダウンロードしたはずが、AMSにデータがインストールされていない。これは何かあるはずだ、と思ったあなたの勘は正しい。ANSに頼り切りではわからないのだが、AMSとにらめっこしながらくまなく歩き回ると、隠し通路が発見できる。その通路の近くにいる男が、幽霊云々と怪しげな話をしているので、聞き逃さないようにしよう。

通路の先から転移して、隠しエリアへ。やはり住人たちがいる。ここには、無料で体力を回復できる泉や、他では手に入らない貴重な薬を売っている薬屋も存在する。リジェネレイト7、ソーマ、千呪万病撃滅内服薬などはいくらか買っておきたい。ただしソーマはかなり値が張る。端末からは、今度こそ本当にマップデータをダウンロードできる。邪教の館もここにあった。

いよいよ地上へ。1F東にはイシュタル信者ガーディアンとシストラムが2体ずつ、西には水妖アプサラスが数体いる。アプサラスは接近戦で侮れない力を持っているので、敵に回さない方が賢明だ。

外へと足を踏み出す。暗雲立ちこめる中、葛城たちが歩き出すと、目の前にバール兵が現れる。「葛城史人だな……」。凄みのある声で、バール兵は言った。と、次の瞬間、襲いかかってきた! バエル信者クラレと戦闘になる。が、ザコなので最初は軽く撃破できる。しかし、斃しても、斃しても襲撃はやまない。次から次へとバール兵が出現する。だんだん不安になってくる。いつになったら終わるのか……。

実は、終わらないのだ。悪逆非道のイベントである。こちらが全滅するまで戦闘は続く。だが、最初にプレイしたときにそんなことがわかるはずもない。筆者などはハマったと勘違いし、リセットしてしまったくらいだ。しかし、それではいつまでたっても先へ進めない。

葛城たちのこの時点での実力を考えると、そうやすやすと全滅したりはしないはずである。ダメージを受けても、レベルアップしたら完全回復だ。本当にいくらやっても終わらない。ここでは、1レベルくらい上げてから、味方を攻撃して殺してしまうのが一番手っ取り早い。ただし、その場合クラレのディザームには注意が必要だ。相馬がくちなわの剣(緊縛の追加効果がある)を叩き落とされると、パラメータ不足で再装備できない。また、初期版のバグで、アイテム欄に埋められない空白ができてしまう場合もある(空白の消去プログラムにつき、参考・関連文献参照)。

どうせならムールムールの時のように、全然歯が立たないような悪魔に襲わせるとかしてほしかった。事実上自殺しないと進まない(1時間以上粘った人もいると聞く)という展開は、ゲーム設計上あまりうまいとは言えないだろう。とにかく、そういうことなので、全滅してもゲームオーバーではない。意識を失うだけである。

イシュタル教団

目が覚めると、ペッドの上。周りを見渡すと、そこは小ぎれいな部屋だった。身を起こそうとしたとき、ひとりの妖艶な女性が部屋に入ってくる。見慣れない服装である。普通の街の住人ではなさそうだ。女性は葛城が意識を取り戻したのを見て喜び、傷の具合を調べ始めた。すっかり良くなったことを知ると、女性は葛城の身体をまさぐり、巧みに服を脱がせようとする。抵抗してもしなくてもいい。

……その女性によれば、葛城たちは銀座地下街の入口付近に倒れていて、周りにはバール兵たちの死体が転がっていたという。発見した彼女らの手によって、ふたりは母なる金星の神殿に運び込まれた。つまり、彼女たちはここの巫女というわけ。相馬も、同じ階の別の部屋にいるという。すぐに無事を確かめにいかないと。

しばらく歩き回ると、相馬のいる部屋が見つかる。中を覗くと、今まさに、葛城と同じように巫女に迫られているところだった。相馬は衣服を取られまいと、必死で抵抗している。巫女は葛城に気づくと、席を外してくれた。

相馬と合流。無事を喜び合う。相馬も、ここが母なる金星だと気づいていた。とにかく命を救われたのだ。長にお礼を言いに行こうというので、部屋を出て歩き回る。巫女たちの話を聞くと、みんな葛城たちのことを知っていた。ここの指導者は、角生静那という名前らしい。ちなみに、この時点で外に出ることはできない。バール兵たちに襲われる危険がある、といって巫女たちに止められてしまうのだ。

最上階中央の部屋。扉の前に巫女がいて、そこが静那の部屋だとわかる。中へ入ると、そこは柔らかな花の香が立ち込めていた。中央には美しい女性が、穏やかな笑みをたたえて佇んでいた。軽やかな衣擦れの音。静那は、穏やかな口調で話しかけてきた。

相馬が、静那に質問する。なぜ、葛城たちを助けてくれたのか。静那は、そのことを話すためにはまず、自分たちの教団の説明をしなければならないという。角生静那・かづさ母子は、女神イシュタルを現世で最も尊い神と信じるふたつの教団、「母なる金星」と「イシュタルの槌」をそれぞれ率いている。母なる金星はイシュタルの母なる愛を司り、何人をも拒まぬ、無償の愛を教義の中心に置く。一方イシュタルの槌はイシュタルの神としての力を司り、イシュタルの復活に備え、数々のいにしえの神話に基づく準備を行っているという。両教団の最高位「聖王」の地位に就いているのは、かづさの方である。

次に、バール兵が葛城たちを襲った理由については、彼女も知らないという。だが、葛城たちを助けた理由を説明するためには、かづさに会ってもらわなくてはいけないのだそうだ。穏やかな口調ながらも、有無をいわせぬ感じがある。相馬は、葛城に判断を任せる、と言ってきた。実際のところ、ここでは選択の余地はない。まあ、助けてもらった恩もあるし、はじめからOKすべきだろう。

イシュタルの槌の神殿へ。角生かづさがいるのはやはり最上階だ。部屋ではむせ返るような、濃厚な動物系の香が焚かれている。そして、奥からは女性のあえぎ声。それも複数。何をやっているのかは言わずもがなである。いったい何なんだここは。静那が丁寧な言葉遣いで葛城たちの到着を告げると、かづさは、遅かったじゃないか、と返事をして女性たちを下がらせた。どうも親子の会話ではない。教団上の地位が優先するらしい。

しばらくすると、上気した顔の巫女たちが軽やかな衣擦れの音を響かせながら現れた。静那に恭しく一礼し、部屋を出ていく。続いて、かづさのお出ましだ。驚いたことに、かづさは少年であった。葛城より若いようだ。だが、物言いは子供のそれとは思えないほどしっかりしている。

かづさは、自らを「イシュタル様に選ばれし者」と語る。イシュタルの過去世であるイナンナに身込まれ、龍イルルヤンカシュをうち倒した狩人神(ここでは語られないが、おそらくその神の名はフパシヤシュであろう)。イナンナの寵愛を受けたその狩人こそ、聖王たる角生かづさの前世の姿だというのだ。

そのことが、葛城たちとどんな関係にあるというのだろう。実は、彼らはイシュタルの転生体を探していたのだが、発見された転生体こそ、橘由宇香だったのだ。由宇香は悪魔たちの手によって無惨にも八つ裂きにされてしまった。しかし、それが覚醒のきっかけになったというのである。由宇香の身体は悪魔どもに喰らわれたあともなお、汚れることも朽ちることもなく、生き続けているのだ。

葛城が由宇香と前世でどんな繋がりがあったのかはわからないが、イシュタルを復活させる使命を帯びていることは確実だという。失われたパーツをそろえたときに何が起こるのか、そもそもイシュタルが復活するのかどうかさえ定かではない。だが、一度覚醒を体験したあとに真の覚醒に至るのは、それほど困難ではないという(相馬がうなずいているあたり、意味深なセリフだ)。結局、由宇香を蘇生させるところまでは、利害が一致しているわけだ。教団を挙げて葛城たちに協力は惜しまない、とのこと。

さらに、葛城に紹介したい人がいるという。静那が奥の部屋から一人の女性を連れてくる。その女性は、由宇香の実の母親だという。とすると、原宿シェルターに住んでいた、(旧姓)橘冬子か(静那は桐子と呼んでいるが、冬子が正しい。読みは同じだが)。冬子は正気を失っていた。たぶん、シェルターが悪魔に襲われたときのショックだろう。冬子とわかったのは、彼女が肌身離さず持っていた、ペンダントタイプのホログラフ投影機のお陰だった。

彼女は今、教団の保護を受けているということだ。ほかの巫女たちのような活動も行わせておらず、十分に世話しているとか。あまり興奮させると良くないというので静那がすぐに下がらせたが、彼らの真意はいまいちはっきりしない。葛城に信用してもらうためなのだろうか。体のよい人質という気もするのだが……。

かづさとの会見を終えたら、イシュタルの槌の神殿内を歩き回ってみよう。かづさは教団の指導者というよりは、もはや崇拝の対象のようになっている。心酔しきっている信者たちが大勢いる。とすると、事実上教団全体を仕切っているのは静那の方で、かづさは教団を象徴する存在にすぎないということも考えられる。信者たちは、みなイシュタルの復活を心待ちにしている。そのため、(ほぼ)同じ目標を持つ葛城にかなり期待しているようだ。

いくつか気になる情報もある。イシュタルが復活した暁には、聖王たるかづさが、イシュタルと結ばれる運命にあるという。もしそうだとすると、葛城にとっては望ましくない話だ。それと、静那は我が子を失う運命にあるというのだが……。これは何を意味するのか。

母なる金星の方にも戻って情報を収集しておこう。イシュタルの槌もそうだが、泉があり、無料で体力を回復できる。母なる金星では、巫女が男たちに「女神の愛」を注いでくれる。早い話が、御茶ノ水シェルターや銀座地下街の情報にもあったように、フリーセックスが教義なのだ。老いも若きも、男たちはみな、その愛を求めてここに集まってくる。バール兵さえも例外ではない。そして、神殿内ではバール兵といえども葛城たちに手は出せないのだ。

少し余談を。イシュタルは古代バビロニアにおいて豊穣、性愛、金星、戦闘などを司る女神であった。同時に美の女神でもあり、娼婦たちの守護神ともされた。このイシュタル神がギリシアに入ってアフロディテ、エジプトに入ってイシスとなったのである。アフロディテはローマではビーナスとして金星に割り当てられたが、それはその出自と関係があったのだ。さらに、イシュタルは好戦的なアッシリアでも戦争の女神として崇められた。

母なる金星とイシュタルの槌は、このイシュタルの二面性に対応している。つまり、母なる金星がイシュタルの性愛面を、イシュタルの槌が戦闘面を、それぞれ象徴している。戦闘神としてのイシュタルの力も凄まじく、イシュタルが降臨すれば、東京中の悪魔を一掃してしまえるだろう。こうした二面性は、多くの地母神に共通する。大自然の包み込むような優しさと、人の命を軽々と奪っていく猛々しさの反映である。ちなみに、こうした母権的二面性は父権的一神教と鋭く対立した。ユダヤ/キリスト教がイシュタルを悪魔へと貶め、ヨハネの黙示録で「バビロニアの大淫婦」と呼んだのは、そういう理由による。

二面性と言えば、「偽典・女神転生」では、シェルターと地上世界との対比が、秩序と混沌に対応しているような気がする。シェルターには階級があり、法があり、安定した秩序の中で人々が暮らしている。しかし、地上は力がものを言う混沌とした世界で、フリーセックスを教義とする教団が存在することからもわかるように、道徳や倫理もあまり価値を持っていない。強ければ生き、弱ければ死ぬ。御茶ノ水シェルターの住人たちは神と天使の加護を祈っていたが、ペンタグランマのメンバーたちは己の力と、リーダーの力量のみを信じていた。

そう考えると、シェルターが次々に壊滅していく様は暗示的である。現代社会に生きる我々は、秩序がある状態こそ「自然」だと思いがちだが、本当は混沌こそが「自然」なのかもしれない。葛城だって己の力に頼って生き延びてきたのだ。もちろん多くの仲間(仲魔)の協力はあったわけだが、何かシステムが守ってくれたわけではない。作者の鈴木一也氏の真意はこの辺にあるのだろうか。だとすると、宗教的・哲学的な深いテーマだ。「ガイア教大司教」の面目躍如といったところか。

懐かしい仲間

旅を続けよう。銀座地下街やイシュタル教団と目と鼻の先にあるのが、バール教団支部だ。またバール兵に襲われる……なんてことはないので安心していい。護衛として、バエル信者クラレとマシンT−93βが出現する。ただ、会話によってT−93βとの戦闘は回避できる。

特にイベントはない。バール兵に無視されたり睨まれたりするが、イシュタル教団の保護を受けた葛城には手が出せないらしい。バール教団とイシュタル教団は、敵対するでもなく、手を組んでいるわけでもないようだが、不思議な関係である。一方はLIGHT寄り、もう一方はDARK寄りだが、どちらもいわば悪魔崇拝である点で共通する。異質な存在と見るか、それとも本質は同じだと考えるべきか……。

バール教団支部を出て、西よりに北上すると、ミレニアム総本山がある。ここにはメシアを名乗るマイトレーヤという男がいて、無償で治療を行っているという。寄ってみると、噂は本当だった。2Fに一目でそれとわかる若い男性がいて、手かざしのヒーリングで傷を癒してくれるのだ。1Fには病院もあるが、HPの回復だけなら利用する必要はない。

ミレニアム内の信者たちが語るところによれば、このミレニアムこそ、来るべき千年王国建設に向け、その雛形として作られた場所なのだそうだ。信者たちは働かなくても衣食住すべてが保障されており、魂を高めるために絵を描いたり、詩を作ったりして暮らしている。

司祭がいて、さらに詳しい話を教えてくれる。彼いわく、ミレニアムに戒律は存在しない。精神のランクを表す一応の階級が定められてはいるが、ミレニアムで暮らして一定期間が過ぎると、自然と上がり始めるようだ。最終的に上位者となると、マイトレーヤのいる4F以上の階に入ることが許されるのだという。そう言う割には、司祭自身ずいぶん長く教団内で暮らしているようだが、上位者ではない。何か訳でもあるのか。

信者たちの目標は、もちろん上位者になることだ。マイトレーヤの側近く仕えて暮らせるので、まさに憧れの的である。また、マイトレーヤの側近中の側近として大司祭がおり、マイトレーヤの身の回りの世話をすべて取り仕切っているという。そもそも、マイトレーヤの出現を予言したのがこの大司祭だった。どうやら大司祭が、実質的に教団を束ねているらしい。

ミレニアムには、信者のほかにガーディアンたちがいる。その名の通りミレニアム内を警護していて、信者の話では、ガーディアンは信者よりもランクの低い、いわば番犬のような存在だということだ。教養に乏しく、魂も貧しく、腕っ節だけが取り柄だと見なされている。しかし、その仕事ゆえに、上位者の住むエリアにも出入りできるのだという。

4Fに上ってみると、中央付近にある扉を境に大きくエリアが2つに分かれている。扉の先に上位者が住むというエリアがあるのだろうが、進もうとすると、謎の声に呼び止められ、ガーディアンに追い返されてしまう。声から察するに、これが大司祭なのだろう。おまけに、ANSを見ると、向こうのエリアになぜか悪魔の反応が……。何かが隠されていることだけは、間違いない。

ところで、マイトレーヤについてだが、これがサンスクリット語で弥勒菩薩を表すことは、(某教団の影響もあって)比較的よく知られている。弥勒菩薩は、現在は欲界の兜率天とそつてんで説法をしているが、釈迦入滅後56億7千万年後に仏となってこの世に現れ、衆生を救うとされる。これがいわゆる弥勒信仰であり、日本にも古くから伝わり、「日本霊異記」にもその信仰を見て取ることができるという。

と、ここまでは調べればすぐに出てくる話だ。だから、ミレニアムのマイトレーヤも、弥勒菩薩が元ネタだと考えている人は多いだろう。だが、ちょっと待ってほしい。偽典の奥深さを甘く見てはいけない。弥勒菩薩が元ネタだとすると、ミレニアム教団において、救世主マイトレーヤが教祖になっていることの説明がやや弱い。弥勒菩薩としてのマイトレーヤと、ミレニアム教団のマイトレーヤとを繋ぐ、ミッシングリンクが存在するはずだ。

謎を解く鍵は、19世紀を代表するオカルティストの一人、ブラヴァツキー夫人が著した、『シークレット・ドクトリン』という書物の中にある。そこには、アトランティス・レムリアなどの「根源人種」の物語や、アストラル体・エーテル体といった霊的存在の理論と並んで、世界教師マイトレーヤ到来の予言が書かれているのだ。

そして、実際にそのマイトレーヤは「発見」された。ブラヴァツキー夫人が創始した神智学協会は、彼女の死後、インドのアディアル近くの海岸で見つけたジッドゥ・クリシュナムルティ少年をマイトレーヤと認定したのだ。そして、神智学協会はクリシュナムルティをメシアとして崇拝する、「東方の星」教団を設立した。この教団こそ、ミレニアム教団の直接のモデルになっていると思われる。

さて、ミレニアム総本山からさらに北上すると大手町駅がある。B2Fには妖精タム・リンと堕天使ベリスが出現するが、ここではタム・リンを斃すなり、仲魔にするなりして雷迅剣を手に入れておきたい。攻撃力の高さもさることながら、感電の追加効果は強力だからだ。

ただ、あまり深入りしない方がいい。B3Fには鬼女ゴルゴンと龍王ナーガ・ラジャがいて、これもなかなか強敵だが、B4Fの、鬼女ランダと邪龍ラドンが大量に徘徊するエリアはもっと危険だ。ここに迷い込むと、下手をすると生きて帰れないおそれがある。なにしろランダは剣や銃の攻撃をすべて跳ね返し、マリンカリンとマシバーハで動きを封じてくる凶悪さだし、ラドンも邪龍最強で体力がやたら高い。現段階では、ここで腕を磨くのはリスクが大きすぎるだろう。

銀座地下街から東よりに北上し、隘路をぐるっと回り込むようにして進むと、八重洲地下街がある……はずなのだが、ただ瓦礫が積み上がっているばかりだ。それでも子供たちが住んでいるらしく、そのリーダーらしき少年が現れ、立ち入りを拒絶されてしまう。その少年、どこかで見たような顔だが……。

母なる金星から南下すると、新橋駅がある。ただ、ここへは銀座地下街から銀座線ルートで来る方が早い。新橋駅のさらに先に、旧新橋駅がある。人影の無いホームに、大破壊前のものであろう、古びたプレートが斜めに壁に掛かっていて、よく見ると「新橋」と読める。

ふと見ると、ホームの一端に何かが転がっている。慎重に近づいてみると、それは金属の塊のようで、ピクリとも動かない。さらに近づいていくにつれ、葛城の脳裏に違和感が広がっていく。どこか見覚えのある形……それは、ニュートンの変わり果てた姿だった。それまでの進み方によって異なるが、初台シェルター以来、もしくは新宿都庁襲撃以来の再会である。ニュートンは、かなりのダメージを受け、もはや残骸と化していた。だが、たとえこのような姿になったとしても、渡すべき人がいるはずだ。葛城は、ニュートンの残骸を拾い上げた。

市ヶ谷シェルターでは、英美がいつもと変わらず日下の助手として懸命に働いていた。部屋に入ってきたのが葛城たちだと知ると、にこやかに話しかけてきた。だが、葛城が差し出したものを見ると、英美の表情が変わる。驚き、喜び、そして悲しみの入り交じった、複雑な表情だ。

英美は機材を取り出すと、丁寧にニュートンの修理をし始めた。つぶやくように語りかけながら。たしかに、シェルターの整った設備と英美の腕前があれば、修復は可能かもしれない。英美が作業をしている間、葛城たちは向かいの部屋で日下と話をする。しばらくして戻ってみると、そこには元気になったニュートンの姿が。人工知能部分が、奇跡的にほとんど破壊されていなかったらしい。しかも、有り余る機材を利用して、以前よりもパワーアップしたというのだから驚きだ。そして、ニュートンは再びパーティーに参加することになった。

これが自然な展開なのだが、実はここで英美ではなく日下に修復してもらうこともできる。ただし、この場合1万マッカが必要だ。日下が修復している間、葛城たちは英美と話をすることになる。日下先生の腕前は超一流だから、何の心配もない、と英美は言う。しばらくして戻ってみると、ニュートンはすっかり元通りに。超過支払い分でパワーアップもしてくれた。しかも、そこは日下だけあって、英美に修復してもらった場合より10レベル分も能力が向上しているのだ。日下と英美のどちらを選ぶかはプレイヤー次第だが、即戦力を期待するなら日下に任せた方がいい。

市ヶ谷シェルターをあとにしたら、一度護国寺に寄っておこう。護国寺では、奇妙な西洋鳥居が立っているが、相馬はそれを見て驚く。護国寺はアスタルテの地獄の炎によって、焼き尽くされたはずだったからだ。

相馬は、そのときの出来事を語ってくれる。それは、西野と相馬が護国寺にたどり着いてまもなくのことだった。アスタルテら悪魔の軍勢が、奇襲をかけてきたのだ。ふたりは僧兵たちとともに応戦したが、強大な炎を操るアスタルテの前には無力だった。相馬が死を覚悟したそのとき、西野は相馬に魔法をかけた。気がついたときには、相馬はひとり鬼子母神の境内にいた。護国寺に戻ったときには、すべては終わっていた。辺り一面、焼け野原になっていた。だが、諦めきれない相馬が瓦礫を掘っていくと、西野の遺体が見つかった。不思議なことに、ほかの僧侶たちは骨まで灰にされてしまったのに、西野の遺体は眠っているように美しかったという。相馬は、西野を埋葬してそこを立ち去った。

このエピソード、そして西洋鳥居が意味するものは、いったいなんだろう。それに、埋葬されたはずの西野だが、それらしき跡は見つからなかった。西野の遺体は、どこに消えてしまったのだろうか。

新橋駅から南下する。高速道路に乗って、東京タワーに行ってみよう。入口から少し奥のところにターミナルがあるが、今は利用できない。エレベータ付近の端末からは、DCSマブダチくんがダウンロードできる。地下には邪教の館と水族館がある。水族館の主人は、水槽で悪魔を育てるのが趣味という変わった男だ。イヒカとアズミが増えすぎたので、好きなだけ持っていってくれと言う。たしかに、だだっ広いホールに水妖イヒカと水妖アズミがうじゃうじゃいる。でも、好きなだけと言われてもねえ。

エレベーターで展望台へ。ここは大破壊前、第1展望台と呼ばれていたところだ。なぜか妖精エルフと地霊ドワーフが大量に出現する。犬猿の仲のはずなのに。展望台から上は階段でしか上ることができない。途中、けっこう強力な悪魔が出現する。妖鬼プルシキ、闘鬼ヤクシニー、降天使エリゴール、悪霊レギオンなど。最上階は8F。ここもかつては特別展望台と呼ばれていた。何もイベントは起きない。扉の外も、ただ空が広がるばかり。実は、あとでもう一度来ることになるのだが。

東京タワーからさらに西へ。高速を降りて南西に向かうと、そこには恵比寿ガーデンがある。いくつかの建物が並んでいて入口が4つあり、1つはかなり離れたところにある。離れた方の入口から入ると、やたら長い通路が延びている。大破壊前には動く歩道があり、そのときも何回も乗り換えさせられてうんざりするほど長かったのだが、大破壊後にそんなものが動いているはずもなく、ひたすら歩かされるのだった。

恵比寿ガーデンは、天使が護る聖地渋谷に入ることを望む人々で溢れかえっていた。大破壊前は人々が享楽の限りを尽くした混沌の街渋谷が、今や聖地になっているのは皮肉なことだ。建物の中は、かなり広い。施設も整っており、マッカさえ十分にあれば、銀座よりも1ランク上の装備を手に入れることができる。ここで防具を買い換えておくのがいいだろう。フォースジャケット、ハロウテンプル、サイバネレッグスあたりがお勧め。また、武器屋で売られている虹色の杖は、絶対入手しておこう。トラポートを無制限に使える優れものだ。ほとんど必須アイテムとさえ言える。装備すると呪われてしまうが、たぶん装備することなどないだろう。なお、B1Fにはターミナルが、エレベータで39Fに上ると邪教の館がある。

恵比寿ガーデンで得られる情報は、ほとんどが渋谷に対する繰り言である。結界を張って一部の人間だけをかくまうという天使たちのやり方は、かなり評判が悪い。嫉妬と羨望がありありと見て取れる。重要なのは不動明王の像について。何者かによって瞳をえぐり取られたのだとか。恵比寿ガーデンの近くには目黒不動があるが、たしかに不動像には瞳がない。不動像は各地に散らばっており、これらの不動像の繋がりも一度調べる必要がありそうだ。また、品川のホテル跡から少女の笑い声が聞こえてきたという情報も、記憶しておこう。

まあ、今回もこのあたりがキリのいいところだろう。次回へ続く。


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